診断基準
診断方法
- (1) 上肢の先天異常
- 単純X線写真(手指骨および手根骨、前腕および上腕、胸部)
- (2) 心臓の先天異常
- 心電図(不整脈)、断層心エコー、心臓MRI、心臓MSCT、心臓カテーテル・造影検査(先天性心疾患)
- (3) 遺伝子検査
- TBX5 遺伝子異常の検索
診断基準
- 1. 上肢の異常(本人)
- 母指を主体とする手指、手根骨、橈骨の形成異常
- 2. 心疾患(本人あるいは家族)
- 先天性心疾患(心房中隔欠損、心室中隔欠損などが)もしくは不整脈(洞徐脈、心房性不整脈、房室ブロックなど)
- 3. 原則として、他の身体器官の先天異常を合併しない。
- 4. TBX5 の遺伝子変異(約70%に認められる)
確定診断
- 臨床所見で1、2、3 を伴う場合。
- 臨床所見で1 もしくは1、2 を伴い、遺伝子検査で 4 が認められる場合。
鑑別すべき疾患
沖広症候群(Duane-radial症候群)、Fanconi貧血、VACTERL連合、Townes-Brocks症候群、血小板減少-橈骨欠損症候群(TAR症候群)など参考文献
- McDermott DA, Fong JC, Basson Ct. Holt-Oram Syndrome. GeneReviews®️. eds: Adams MP, Ardinger HH, Pagon RA, Wallace SE, Bean LJH, Mirzaa G, Amemiya A. University of Washington, Seattle;199-2021. ISSN:2372-0697.
対象の基準(疾病の状態の程度)
次のいずれかに該当する場合
- ア
- 上肢の運動障害があり継続的に治療を要する場合
- イ
- 慢性心疾患の治療中である場合又は第2基準を満たす場合
第2基準
次の①から⑨までのいずれかが認められていること。
- ①
- 肺高血圧症(収縮期血圧40mmHg以上)
- ②
- 肺動脈狭窄症(右室―肺動脈圧較差20mmHg以上)
- ③
- 2度以上の房室弁逆流
- ④
- 2度以上の半月弁逆流
- ⑤
- 圧較差20mmHg以上の大動脈狭窄
- ⑥
- 心室性期外収縮、上室性頻拍、心室性頻拍、心房粗細動又は高度房室ブロック
- ⑦
- 左室駆出率0.6以下
- ⑧
- 心胸郭比60%以上
- ⑨
- 圧較差20mmHg以上の大動脈再狭窄
- 版
- :第1版
- 更新日
- :2021年11月1日
- 文責
- :日本小児循環器学会