診断の手引き

  1. 慢性心疾患
  2. 大分類: 大動脈弁下狭窄症
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大動脈弁下狭窄症

だいどうみゃくべんかきょうさくしょう

Subvalvular aortic stenosis

告示

番号:64

疾病名:大動脈弁下狭窄症

診断方法

【臨床所見】
心筋症合併例をのぞき乳児期に発症することはまれである。
小児期にも自覚症状は無く発育も正常のことが多いが、重症例では、易疲労感、労作時呼吸困難、狭心痛、失神などを認めることがある。
聴診上I音は正常であるが、重症例ではII音の分裂を認めずIII音、IV音を聴取する。胸骨右縁上部から頸部に放散する収縮期駆出性雑音を聴取する。胸骨上窩や頸部に振戦を触知する。
大動脈弁閉鎖不。全に起因する拡張期雑音を聴取することがある

【胸部X線】
心拡大を認めることは稀であるが、左室肥大を反映して心尖部の円形突出を認めることがある。

【心電図】
左室圧負荷の程度に応じて左室肥大所見を認める。左側胸部誘導におけるST低下や陰性T波は重症狭窄に特異度が高い所見である。
・aVL誘導の異常Q波

【心エコー図】
大動脈弁下の左室流出路に膜性または線維筋性の狭窄を認め、狭窄の存在部位、形態などが診断できる。ドプラ法では狭窄後に乱流を認め、最大流速から圧較差を推測することができる。 大動脈弁閉鎖不全を認めることがある。

【心臓カテーテル・造影所見】
引き抜き圧測定で狭窄部を介して左室内で圧較差を認める。
左室造影では左室流出路に狭窄が描出される。
大動脈造影で大動脈弁閉鎖不全を認めることがある。

■診 断
心雑音または合併心疾患が診断の契機となる。
心エコーで狭窄の存在部位、形態、重症度評価が可能である。
重症度評価や治療方針の決定のために心臓カテーテルを行うことがある。

■鑑 別
大動脈弁狭窄 弁上狭窄との鑑別が必要である。

当該事業における対象基準

治療中又は次の①から⑨のいずれかが認められる場合
①肺高血圧症(収縮期血圧40mmHg以上)
②肺動脈狭窄症(右室-肺動脈圧較差20mmHg以上)
③2度以上の房室弁逆流
④2度以上の半月弁逆流
⑤圧較差20mmHg以上の大動脈狭窄
⑥心室性期外収縮、上室性頻拍、心室性頻拍、心房粗細動又は高度房室ブロック
⑦左室駆出率あるいは体心室駆出率0.6以下
⑧心胸郭比 60%以上
⑨圧較差20mmHg以上の大動脈再狭窄

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児循環器学会