診断の手引き

  1. 慢性心疾患
  2. 大分類: 肺動脈閉鎖症
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心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症

しんしつちゅうかくけっそんをともなわないはいどうみゃくへいさしょう

Pulmonary atresia with intact ventricular septum

告示

番号:85

疾病名:心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症

診断方法

心臓超音波検査

純型肺動脈閉鎖では心エコーでは四腔断面で、左室はほぼ正常かやや大きく右室は小さい。
肺動脈は細く、閉鎖状態は漏斗部閉鎖か弁性閉鎖となる。
肺血流は大動脈から動脈管を通してしか供給されず、その血流を認める。
心房中隔による心房間血流は必要で右左短絡となる。

胸部X線

肺動脈が細く左側第2弓は陥凹し、肺血流は減少している。 エプスタイン(Ebstein)奇形を伴うと三尖弁逆流による右房拡大で心拡大を呈する。

心電図

右軸偏位ないし正常軸で、左室肥大所見となる。

心臓カテーテル・造影検査

純型肺動脈閉鎖: 造影で、右室は小さく、肺動脈弁は閉鎖している。 右室収縮期圧はほとんどの例で左室圧より高い。 右室造影で右室の形態と容積、類洞交通の有無と形態(右室依存性冠循環の診断)、三尖弁閉鎖不全の程度がわかる。

当該事業における対象基準

治療中又は次の①から⑨のいずれかが認められる場合

①肺高血圧症(収縮期血圧40mmHg以上)
②肺動脈狭窄症(右室-肺動脈圧較差20mmHg以上)
③2度以上の房室弁逆流
④2度以上の半月弁逆流
⑤圧較差20mmHg以上の大動脈狭窄
⑥心室性期外収縮、上室性頻拍、心室性頻拍、心房粗細動又は高度房室ブロック
⑦左室駆出率あるいは体心室駆出率0.6以下
⑧心胸郭比 60%以上
⑨圧較差20mmHg以上の大動脈再狭窄

最終手術不能のためチアノーゼがあり、死に至る可能性を減らすための濃厚なケア、治療及び経過観察が必要な場合

以上の何れかを満たす場合

:バージョン1.1
更新日
:2015年8月3日
文責
:日本小児循環器学会