診断方法
心臓超音波所見
心臓超音波にて四腔断面で右房から右室へのつながりの閉鎖(多くは筋性閉鎖)、筋性閉鎖にともなう心房中隔と心室中隔の不整合(malalignment)が基本となる。
また、心房間交通(右房から左房への短絡)が必須で、心室中隔欠損も伴い、左室から右室への短絡を認める。
大血管は正常連結のものと大血管転位のものに分けられる。さらに肺動脈の狭窄の有無にてさらに分類される。
症 状
症状はチアノーゼと多呼吸が主体。肺血流減少例ではチアノーゼが主で、心室中隔欠損の狭小化、漏斗部狭窄の進行により、低酸素発作を生じる場合がある。
肺血流増加例では、チアノーゼは軽いが多呼吸や呼吸困難、うっ血性心不全がある。
胸部X線
肺血流減少型では心拡大は少なく、肺血流増加型では心拡大を呈する。心陰影は四角ばった形状となる。
心電図所見
心電図で、左軸偏位、左室肥大~右室低形成型である。
心房間交通の不良な場合には右房負荷、肺血流量の多い例では両房負荷を示す。
純型肺動脈閉鎖とは左軸偏位の有無で鑑別する。
心臓カテーテル検査
右心カテーテル検査では閉鎖した三尖弁のため右房から右室へカテーテルを挿入できず、卵円孔開存を経て、左房、左室へと挿入される。右房造影では造影剤は右室に流れ込まない。
肺動脈形態が後の Fontan手術に重要な条件となる。肺動脈が低形成の例では、Fontan手術が困難なことがある。
診 断
心臓超音波、心臓カテーテル検査。
当該事業における対象基準
治療中又は次の①から⑨のいずれかが認められる場合
①肺高血圧症(収縮期血圧40mmHg以上)
②肺動脈狭窄症(右室-肺動脈圧較差20mmHg以上)
③2度以上の房室弁逆流
④2度以上の半月弁逆流
⑤圧較差20mmHg以上の大動脈狭窄
⑥心室性期外収縮、上室性頻拍、心室性頻拍、心房粗細動又は高度房室ブロック
⑦左室駆出率あるいは体心室駆出率0.6以下
⑧心胸郭比 60%以上
⑨圧較差20mmHg以上の大動脈再狭窄
最終手術不能のためチアノーゼがあり、死に至る可能性を減らすための濃厚なケア、治療及び経過観察が必要な場合
以上の何れかを満たす場合
- 版
- :バージョン1.1
- 更新日
- :2015年8月3日
- 文責
- :日本小児循環器学会