診断基準
A.症状
肺内に先天性の非可逆性病変があり、以下のいずれかに該当する場合、先天性嚢胞性肺疾患と診断する
- 正常気道以外の肉眼的な腔が単発性あるいは多発性に見られる場合
- 病変組織に正常肺胞以外の顕微鏡的な腔の形成や、中枢から末梢までのいずれかの気道レベルで肺発生の障害を示唆する組織像が見られた場合
上記の症状により診断あるいは治療を受けた後にも、遺残肺葉に病変の遺残や胸郭変形を呈する場合がある
B.検査所見
胸部単純X線写真、CT、胎児MRIなどの画像診断で先天性、非可逆性に肺実質内の嚢胞性病変が描出される
- 超音波検査、CT検査などの画像診断により病変部に異常な弾性血管の流入を認める
- 気管支鏡検査で気管支の閉鎖を認める
- 切除肺の病理検査で気管支閉鎖部の中枢側に粘液栓がみられる
- 上記1, 2 ,3のいずれの所見もなく、切除肺の病理組織検査で嚢胞上皮の腺腫様所見がみられる
- その他、リンパ管拡張など切除肺の病理組織学検査で先天的な異常がみられる
C.遺伝学的検査等
本疾患に特異的な遺伝子異常は現時点で認められていない
D.鑑別診断
除外項目:
原発性肺腫瘍の組織内にみられる嚢胞性病変は含めない
後天性に肺感染による肺組織障害の結果形成された腔は含めない
E-1.確実例
Aの項目を満たす場合
Bの項目について
胸部単純X線写真、CT、胎児MRIなどの画像診断で先天性、非可逆性に肺実質内の嚢胞性病変が描出され、かつ以下のいずれかの所見がみられた場合
- 超音波検査、CT検査などの画像診断により病変部に異常な弾性血管の流入を認める
- 気管支鏡検査で気管支の閉鎖を認める
- 切除肺の病理検査で気管支閉鎖部の中枢側に粘液栓がみられる
- 上記1, 2 ,3のいずれの所見もなく、切除肺の病理組織検査で嚢胞上皮の腺腫様所見がみられる
- その他、リンパ管拡張など切除肺の病理組織学検査で先天的な異常がみられる
上記AまたはBの項目を満たし、かつDの除外項目がないものを確実例とする
E-2.疑い例
A項目のいずれかが疑われる場合
または
胸部単純X線写真、CT、胎児MRIなどの画像診断で先天性、非可逆性に肺実質内の嚢胞性病変が疑われた場合
当該事業における対象基準
状態の程度
治療が必要な場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2017年3月17日
- 文責
- :日本小児外科学会