診断方法
以下の2項目のうち、いずれか 1 項目を満たせば確定診断とする。
- CT、MRI、超音波検査などの画像診断(出生前検査を含む)で、腹腔内臓器が横隔膜を越えて胸腔内に脱出していることが確認できた場合
- 胸部単純レントゲン写真で本症が疑われ、手術所見により腹腔内臓器が横隔膜を越えて胸腔内に脱出していることが確認できた場合
ただし、膜状構造物(ヘルニア嚢)を有した状態で腹腔内臓器が横隔膜を越えて胸腔内に脱出している場合(有嚢性横隔膜ヘルニア)は、横隔膜弛緩症との鑑別を要する。また、外傷などの後天性の原因が疑われる場合は、本疾患から除外する。
以下のうち、軽症例は長期間にわたる入院加療や外来通院加療を要さないため小児慢性特定疾患の対象とはならない。
- ⑴ 最重症例
- 上記の診断方法により本症の確定診断が得られたうち、合併する肺低形成・新生児遷延性肺高血圧・重篤な先天性奇形・染色体異常などのために出生後 90 日以上生存できなかった症例
- ⑵ 重症例
- 上記の診断方法により本症の確定診断が得られたうち、90 日以上生存し、かつ以下の 9 項目のうち、少なくとも 1 項目以上に該当する症例
- -2 SDを越える低身長または低体重を示す
- 精神発育遅滞・運動発達遅滞・その他中枢神経障害を有する
- 難聴のために治療を要する
- 人工呼吸管理・酸素投与・気管切開管理を要する
- 経静脈栄養・経管栄養(胃瘻を含む)を要する
- 胃食道逆流症のために外科的または内科的治療を要する
- 肺高血圧治療薬の投与を要する
- 反復する呼吸器感染のために 1 年間に 2 回以上の入院加療を要する
- 経過観察または治療が必要な漏斗胸・側弯などの胸郭変形を有する
- ⑶ 軽症例
- 上記の診断方法により本症の確定診断が得られたうち、90日 以上生存し、⑵ の 1.~9. のいずれの項目にも該当しない症例
参考文献
- Chen C, Jeruss S, Chapman JS, Terrin N, et al.: Long-term functional impact of congenital diaphragmatic hernia repair on children. J Pediatr Surg 42:657-665, 2007,
- Peetsold MG1, Heij HA, Kneepkens CM, et al.: The long-term follow-up of patients with a congenital diaphragmatic hernia: a broad spectrum of morbidity. Pediatr Surg Int 25: 1-17, 2009.
- Jancelewicz T, Chiang M, Oliveira C, et al.: Late surgical outcomes among congenital diaphragmatic hernia (CDH) patients: why long-term follow-up with surgeons is recommended. J Pediatr Surg 48:935-941, 2013.
- Nagata K, Usui N, Kanamori Y, et al.: The current profile and outcome of congenital diaphragmatic hernia: A nationwide survey in Japan. J Pediatr Surg 48:738-744, 2013.
当該事業における対象基準
治療が必要な場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児外科学会