診断の手引き

  1. 慢性腎疾患
  2. 大分類: 慢性糸球体腎炎
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慢性糸球体腎炎(アルポート(Alport) 症候群によるものに限る。)

まんせいしきゅうたいじんえん (あるぽーとしょうこうぐんによるものにかぎる。)

Alport syndrome; AS

告示

番号:42

疾病名:慢性糸球体腎炎(アルポート 症候群によるものに限る。)

診断方法

臨床所見,家族歴,腎生検および遺伝子検査により総合的に診断する(表1)。


表1. Alport症候群の診断

表1. Alport症候群の診断

表2 Alport症候群の診断基準 (平成27 年2 月改訂)
厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業)「腎・泌尿器系の希少・難治性疾患群に関する診断基準・診療ガイドラインの確立」班

表2 Alport症候群の診断基準 (平成27 年2 月改訂)

診断のための留意点

  • ASは,本邦では学校検診などで無症候性血尿を契機に発見されることが多いことから,無症候性血尿の症例に対して,ASを疑って腎疾患の家族歴を聴取することが重要である。
  • 家族歴からASが疑われる場合は腎生検を行うことが望ましい。家族性に血尿がみられるが腎不全の家族歴がない場合の腎生検の適応は慢性糸球体腎炎の腎生検の適応と同じである(表3)。
  • 最も確実なASの診断は,遺伝子解析であるが,遺伝子検査が可能な施設が限られることや,コストパフォーマンスを考慮した場合に診断法の第一選択にはならない。

表3 大分類2:慢性糸球体腎炎

表3 大分類2:慢性糸球体腎炎

当該事業における対象基準

病理診断で診断が確定し、治療でステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤、抗凝固薬、抗血小板薬、アルブミン製剤、降圧薬のうち一つ以上を用いる場合又は腎移植を行った場合

:バージョン1.1
更新日
:2015年5月23日
文責
:日本小児腎臓病学会