診断方法
主症状
咳、喘鳴、感冒様症状などの呼吸器症状で発症することが多い。他に発熱、倦怠感、胸痛、腹痛、哺乳不良等がまれに見られる。多呼吸、呼吸困難、呼吸不全、呼吸停止などの十得な呼吸器症状が見られることもある。いずれも非特異的症状であり、症状のみから本疾患を疑うことは困難である。
検査所見
- 画像診断では、胸部単純X線写真では肺炎像に類似する。腫瘤性病変、また嚢胞性病変を認める場合もあるが、いずれも非特異的である。
- 6歳以下の小児に好発し、肺内(胸膜に近い末梢肺内)と肺外(胸腔内)のいずれからも発生し、悪性上皮成分を欠く。肉眼所見から、type I(嚢胞性)、type II(嚢胞性+充実性)、type III(充実性)に分けられ、主にtype II、IIIで疎な紡錘細胞性の間質に囲まれて細胞質の乏しい未熟な形態の腫瘍細胞の集簇をしばしば示す。
Type Iでは、嚢胞状の気道上皮下に高密度に存在する間葉系の紡錘形異型細胞がみられ、横紋筋への分化や軟骨を伴うこともある。核分裂像を伴い、細胞異型が強い部分がある一方で、壊死・線維化・石灰化・ヘモジデリン沈着といった所見を伴うこともある。Type Iの一部はType II、IIIへ移行すると考えられている。
Type IIでは部分的にType I相当の病変を示すとともに、異型細胞の充実性増殖が明瞭となり、Type IIIは充実性病変が大部分を占める。
Anaplasiaを示す細胞はType IIで約75%、Type IIIでは約90%の症例でみられるようになる。また、横紋筋や軟骨への分化を示す細胞の異型性も顕著となってくる。全typeを通じて、気道上皮成分には異型性は乏しい。
胸膜肺芽腫のType Iはcongenital pulmonary airway malformation (CPAM)、肺外分画症、気管支原性嚢胞等の先天性嚢胞性疾患との関連が論じられているところである。
その他の徴候
診断
原則として、病理組織学的検査により診断する。
参考文献
- 田中 祐吉ら 稀な肺・胸膜腫瘍の組織診断 胸膜肺芽腫 病理と臨床 28巻3号 Page282-287 文光堂 2010年
- 新小児がんの診断と治療 別所文雄他 診断と治療社
当該事業における対象基準
組織と部位が明確に診断されている場合。治療終了後から5年を経過した場合は対象としないが、再発等が認められた場合は、再度対象とする。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会