診断方法
主症状
発生部位に応じた症状を呈するが、多くは腫瘤触知やその圧迫症状、または腫瘍破裂による症状などである。具体的には腹部腫瘤や膨隆、精巣腫大、仙尾部腫瘤、腹痛、疝痛、縦隔腫瘤の場合は気道圧迫症状、卵巣腫瘍の場合は茎捻転による症状もある。
検査所見
- 1. 画像診断 特異的な所見はないが、単一の組織型であれば均質な充実性腫瘍の像を呈することが多い。遠隔転移をきたすこともある。
- 2. 肉眼所見 表面が平滑・軟でやや弾力性を有する類円形の腫瘍で、通常厚い被膜を有する。表面が分葉上または多結節状を呈することもある。大きさはさまざまであるが、多くは10cm以上で、大きなものは50cm径までに達する。割面は灰白色もしくは淡黄色~紅色を呈し、脳様または充実性髄様で膨張する。
- 3. 病理組織所見 腫瘍細胞は大型立方形ないし類円形で一様で、細胞境界は明瞭である。核は大型円形~類円形でクロマチンは粗い。1~2個の明瞭な核小体を有し、核分裂は多い。
指圧により圧痕を残す。時に軟化融解や出血・壊死、嚢胞形成を伴うが、その際には他の胚細胞成分の混在に注意が必要である。両側性が10~15%に認められる。
細胞質は明るく、ところにより顆粒状を呈し、豊富なグリコーゲンを含有する。脂質も含む組織化学的、免疫組織化学的に胎盤性アルカリフォスファターゼが証明される。
また、LDHも多くの細胞に陽性になる。腫瘍細胞は島状、胞巣状あるいは索状に配列する集団を形成し、これを繊細な線維性間質が囲んでいる。
この線維性間質に種々程度のリンパ球浸潤を認め、ときにはリンパ濾胞を形成する。形質細胞や好酸球浸潤もしばしばみられる。
また肉芽種先見することがあり、異物型巨細胞やLanghans型巨細胞が出現する。
小児では稀であるが、腫瘍細胞間の結合組織に接してsyncytiotrophoblastic giant cell (STGC)を認め、免疫組織化学的にヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が証明される。
STCG出現の頻度は精巣のセミノーマより低い。病理組織学的な核分裂数、リンパ球浸潤の程度、細胞異型と予後の相関はないとされている。
診断
原則として、病理組織学的検査により診断する。
参考文献
- 卵巣腫瘍病理アトラス, 文光堂 2010
- 新訂版 小児腫瘍組織分類図譜 第5編, 金原出版 1999
- 新小児がんの診断と治療 別所文雄他 診断と治療社
当該事業における対象基準
組織と部位が明確に診断されている場合。治療終了後から5年を経過した場合は対象としないが、再発等が認められた場合は、再度対象とする。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会