診断の手引き

  1. 染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群
  2. 大分類: 染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群
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トリーチャーコリンズ(Treacher Collins)症候群

とりーちゃーこりんずしょうこうぐん

Treacher Collins syndrome

告示

番号:29

疾病名:トリーチャーコリンズ症候群

診断方法

主要症状よりトリーチャーコリンズ症候群が疑われ、原因遺伝子(TCOF1POLR1BPOLR1CPOLR1D)に病的変異を認めればトリーチャーコリンズ症候群と診断が確定する。変異を認めない場合もあり、乳幼児期から下記の症状を全て満たせば臨床診断される。

A.症状

Ⅰ.主要症状
  • 外耳道閉鎖および耳小骨異形成を伴う耳介の形態異常
  • 頬骨弓低形成・欠損による眼瞼裂斜下
  • 睫毛欠失を伴う下眼瞼外側の部分欠損、または小窩
  • 顔面骨低形成による特徴的な顔貌

参考文献

  1. GeneReviews(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1532/
  2. Jones MC. Treacher Collins syndrome and related disorders. In Cassidy and Allanson”s Management of Genetic Syndromes, 4th edition, Wiley Blackwell, 2021;927-935.
  3. Vincent M, Geneviève D, Ostertag A, et al. Treacher Collins syndrome: a clinical and molecular study based on a large series of patients. Genet Med. 2016;18:49–56

当該事業における対象基準

基準(ア)、基準(イ)又は基準(ウ)を満たす場合
【基準(ア)】
症状として、けいれん発作、意識障害、体温調節異常、骨折又は脱臼のうち一つ以上続く場合であること。
【基準(イ)】
治療で強心薬、利尿薬、抗不整脈薬、抗血小板薬、抗凝固薬、末梢血管拡張薬又はβ遮断薬のうち一つ以上が投与されている場合であること。
【基準(ウ)】
治療で呼吸管理(人工呼吸器、気管切開術後、経鼻エアウェイ等の処置を必要とするものをいう。)、酸素療法又は胃管、胃瘻、中心静脈栄養等による栄養のうち一つ以上を行う場合であること。
:第1版
更新日
:2025年4月1日
文責
:日本小児遺伝学会