診断の手引き

  1. 染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群
  2. 大分類: 染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群
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シャーフ・ヤング(Schaaf-Yang)症候群

しゃーふ・やんぐ しょうこうぐん

Schaaf-Yang syndrome

告示

番号:21

疾病名:シャーフ・ヤング症候群

診断基準

発達遅滞、新生児期の筋緊張低下、乳児期の哺乳不良、遠位側優位の関節拘縮などの症状を認め、MAGEL2遺伝子解析による短縮型変異を検出することによる。

A.主要臨床症状
  1. 精神運動発達遅滞
  2. 新生児期の筋緊張低下
  3. 乳児期の哺乳不良(しばしば経管栄養を必要とする)
  4. 遠位側優位の関節拘縮
B.しばしば認める症状・所見
  1. 自閉スペクトラム症
  2. 特徴的な顔貌(浅い鼻唇溝、大きな耳)
  3. 睡眠時無呼吸
  4. 低身長(しばしば成長ホルモン分泌不全が認められる)
  5. 体温調整障害
  6. 呼吸障害 (しばしば新生児期から乳児期に気管内挿管、人工換気を必要とする)
  7. 便秘
  8. 胃食道逆流症
  9. 脊柱側弯症
  10. 斜視などの眼科的異常
  11. 性腺機能低下症(特に男児)
  12. 小さな手足
C.遺伝学的検査

父親アリル由来MAGEL2遺伝子の短縮型変異の存在(現時点で、遺伝子検査は確定診断に必須)

D.診断
確実例:
A.1. とA.4. に加えてA.2. もしくはA.3. を認め、C.を満たす場合。
疑い例:
A.1. に加えて、A.2. もしくはA.3. もしくはA.4. を認め、C.を満たす場合。

参考文献

  1. Negishi Y, Kurosawa K, Takano K,et al. A nationwide survey of Schaaf-Yang syndrome in Japan. J Hum Genet. 2022 Dec;67(12):735-738. doi: 10.1038/s10038-022-01089-y. Epub 2022 Oct 12. PMID: 36220858.

当該事業における対象基準

基準(ア)、基準(イ)又は基準(ウ)を満たす場合
【基準(ア)】
症状として、けいれん発作、意識障害、体温調節異常、骨折又は脱臼のうち一つ以上続く場合であること。
【基準(イ)】
治療で強心薬、利尿薬、抗不整脈薬、抗血小板薬、抗凝固薬、末梢血管拡張薬又はβ遮断薬のうち一つ以上が投与されている場合であること。
【基準(ウ)】
治療で呼吸管理(人工呼吸器、気管切開術後、経鼻エアウェイ等の処置を必要とするものをいう。)、酸素療法又は胃管、胃瘻、中心静脈栄養等による栄養のうち一つ以上を行う場合であること。
:第1版
更新日
:2025年4月1日
文責
:日本小児遺伝学会