診断基準
発達遅滞、新生児期の筋緊張低下、乳児期の哺乳不良、遠位側優位の関節拘縮などの症状を認め、MAGEL2遺伝子解析による短縮型変異を検出することによる。
A.主要臨床症状
- 精神運動発達遅滞
- 新生児期の筋緊張低下
- 乳児期の哺乳不良(しばしば経管栄養を必要とする)
- 遠位側優位の関節拘縮
B.しばしば認める症状・所見
- 自閉スペクトラム症
- 特徴的な顔貌(浅い鼻唇溝、大きな耳)
- 睡眠時無呼吸
- 低身長(しばしば成長ホルモン分泌不全が認められる)
- 体温調整障害
- 呼吸障害 (しばしば新生児期から乳児期に気管内挿管、人工換気を必要とする)
- 便秘
- 胃食道逆流症
- 脊柱側弯症
- 斜視などの眼科的異常
- 性腺機能低下症(特に男児)
- 小さな手足
C.遺伝学的検査
父親アリル由来MAGEL2遺伝子の短縮型変異の存在(現時点で、遺伝子検査は確定診断に必須)
D.診断
- 確実例:
- A.1. とA.4. に加えてA.2. もしくはA.3. を認め、C.を満たす場合。
- 疑い例:
- A.1. に加えて、A.2. もしくはA.3. もしくはA.4. を認め、C.を満たす場合。
参考文献
- Negishi Y, Kurosawa K, Takano K,et al. A nationwide survey of Schaaf-Yang syndrome in Japan. J Hum Genet. 2022 Dec;67(12):735-738. doi: 10.1038/s10038-022-01089-y. Epub 2022 Oct 12. PMID: 36220858.
当該事業における対象基準
基準(ア)、基準(イ)又は基準(ウ)を満たす場合
- 【基準(ア)】
- 症状として、けいれん発作、意識障害、体温調節異常、骨折又は脱臼のうち一つ以上続く場合であること。
- 【基準(イ)】
- 治療で強心薬、利尿薬、抗不整脈薬、抗血小板薬、抗凝固薬、末梢血管拡張薬又はβ遮断薬のうち一つ以上が投与されている場合であること。
- 【基準(ウ)】
- 治療で呼吸管理(人工呼吸器、気管切開術後、経鼻エアウェイ等の処置を必要とするものをいう。)、酸素療法又は胃管、胃瘻、中心静脈栄養等による栄養のうち一つ以上を行う場合であること。
- 版
- :第1版
- 更新日
- :2025年4月1日
- 文責
- :日本小児遺伝学会