診断方法
<診断基準>
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ミオトニーを認める i あるいは ii
- 臨床的にミオトニー現象(筋強直現象)を認める注1
- 針筋電図でミオトニー放電を認める
- 通常、発症は10歳以下が多い
- 病初期には筋力低下・筋萎縮を認めない
- 常染色体顕性(優性)あるいは潜性(劣性)遺伝の家族歴がある
- 骨格筋型ナトリウムチャネルのαサブユニットあるいは塩化物イオンチャネル遺伝子に本疾患特異的な変異を認める注2
除外診断
- 筋強直性ジストロフィー
- シュワルツ・ヤンペル症候群
- アイザックス症候群(neuromyotonia)
- 糖原病2型(Pompe病)
確実例(Definite)
1、2、3に加え、4あるいは5を認めた上で除外診断を行い診断する。疑い例(Probable)
1、2、3を認めた上で除外診断を行い診断する。注1 ミオトニー現象(筋強直現象)について
(具体例)
- 眼瞼ミオトニア(眼瞼の運動開始遅延、強収縮後の弛緩遅延)を認める
- lid lag(上方注視後の下方視時に生じる上眼瞼の下降遅延)を認める
- 手指を強く握った後に弛緩遅延を認める(把握ミオトニー)
- 診察用ハンマーで母指球や舌などを叩くと筋収縮を認める(叩打ミオトニー)
- なお、ミオトニーの程度は、痛みや呼吸障害を来すような重篤なものから、軽い筋のこわばり程度で気づきにくいものまで様々である
- 運動開始時に多くみられ、繰り返しで改善することがある(warm-up現象)
- 繰り返しでの増悪(パラミオトニー)、寒冷での悪化を認める(特に先天性パラミオトニー)
注2 本疾患特異的な変異
非ジストロフィー性ミオトニー症候群の原因となるSCN4A遺伝子の代表的変異として、先天性パラミオトニーの原因となるp.Thr1313Met変異やp.Arg1448His/Cys/Pro/Ser変異、ナトリウムチャネルミオトニーの原因となるp.Val445Met変異、p.Val1293Ile変異、p.Gly1306Ala/Val/Glu変異などがある。
参考文献
当該事業における対象基準
運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)、けいれん発作、皮膚所見(疾病に特徴的で、治療を要するものをいう。)、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合
- 版
- :第1版
- 更新日
- :2025年4月1日
- 文責
- :日本小児神経学会