診断方法
間質性肺疾患、皮膚症状、発熱などの臨床症状と血液炎症反応の上昇から本疾患を疑う。遺伝子検査によってSTING1遺伝子の機能獲得変異を確認し、診断を確定する。
A.症状
- 原因不明の間質性肺疾患または肺線維症
- 皮膚症状(凍瘡様皮疹、紅斑)または爪の欠損/形成異常(爪床毛細血管の不整や毛細血管係蹄の消失がみられる)
- 乳児期から繰り返す発熱
B.検査所見
炎症反応(CRPまたは赤血球沈降速度)が施設基準値以上C.遺伝学的検査
STING1に疾患関連遺伝子変異を認めるD.鑑別診断
他のⅠ型インターフェロノパチー、若年性特発性関節炎、特発性間質性肺炎、全身性強皮症、若年性皮膚筋炎、混合性結合組織病、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス、サイトメガロウイルス肺炎、ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ脈管筋腫症などE-1.確実例(Definite)
A.の2項目以上を認め、B.とC.を満たすE-2.疑い例(Probable)
A.の1. もしくは2. を認め、C.を満たし、D.を除外出来る参考事項
- 関節炎、甲状腺炎、糸球体腎炎、脳血管障害を伴うこともある。 末梢血で、IgG高値、自己抗体(抗核抗体、抗リン脂質抗体)陽性、I型IFN高値などがみられる。
診断の際の留意点
- 間質性肺疾患は致死的経過をとることあり、臨床像は多彩であり、乳児期以降に症状が出現することもある。
- 間質性肺疾患は両側性に認められ、蜂巣肺や傍気管リンパ節の腫脹を伴うこともある。本疾患に合併する間質性肺疾患に特徴的なCT所見はないが、膠原病に関連する間質性肺疾患や既知の遺伝性間質性肺疾患(サーファクタント代謝異常やマクロファージ機能異常に伴う間質性肺疾患、肺胞蛋白症)を除く。
参考文献
- Liu Y, Jesus AA, Marrero B, et al. Activated STING in a vascular and pulmonary syndrome. N Engl J Med. 2014;371(6):507-18.
- Frémond ML, Hadchouel A, Berteloot L, et al. Overview of STING-Associated Vasculopathy with Onset in Infancy (SAVI) Among 21 Patients. J Allergy Clin Immunol Pract. 2021;9(2):803-18.
- David C, Frémond ML. Lung Inflammation in STING-Associated Vasculopathy with Onset in Infancy (SAVI). Cells. 2022;11(3):318.
当該事業における対象基準
治療で非ステロイド系抗炎症薬、ステロイド薬、免疫調整薬、免疫抑制薬、抗凝固療法、γグロブリン製剤、強心利尿薬、理学作業療法、生物学的製剤又は血漿交換療法のうち一つ以上を用いている場合
- 版
- :第1版
- 更新日
- :2025年4月1日
- 文責
- :日本免疫不全・自己炎症学会