1. 皮膚疾患群
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色素性乾皮症

しきそせいかんぴしょう

Xeroderma pigmentosum; XP

告示

番号:2

疾病名:色素性乾皮症

概要

日光過敏症状を呈し、露出部皮膚の乾燥、色素沈着を呈し、皮膚がんを高率に発生する高発癌性遺伝疾患である。A~G群、V(バリアント)型の8つのサブグループに分けられる。

疫学

日本人全人口に対する発生頻度は2.2万人に1人と推定される。患者数は300~600人と推定される。日本では、XP患者の約半数がA群、約1/4がV型である。

原因の解明

現在A~G群、V型の全ての原因遺伝子が判明している。A~G群の遺伝子は、紫外線によって生じたDNA損傷を修復する過程に必要な蛋白を作り、V型の遺伝子は損傷乗り越え複製に必要な蛋白を作る。色素性乾皮症では、これらの欠損により、傷をもった遺伝子が増えてしまうことにより、発癌に至ると考えられている。

表1. 色素性乾皮症の原因遺伝子とその臨床ならびに細胞学的特性

表1. 色素性乾皮症の原因遺伝子とその臨床ならびに細胞学的特性

主な症状

各群によって症状は異なる。本邦で最も多いA群では、乳児期より高度の日光過敏性があり、成長に伴い露光部皮膚の乾燥、雀卵斑様色素斑が目立ち、早い例では10歳頃から皮膚がんの発生がみられる。神経症状は、3歳頃から出現し、15歳ごろには高度の歩行障害、10代の終わりには誤嚥等が頻発する。聴力低下も5-6歳ころから現れる。いずれのタイプも放置すると小児期から青年期に皮膚がんを発症する。

主な合併症

本邦で最も多いA群では、神経障害による聴力低下、構音障害、四肢関節拘縮等が生じ、誤嚥による肺炎は生命に関わる合併症である。

診断の手順

① 最少紅斑量(minimal erythema dose : MED)の低下 : 白皮症、特にその軽症型を除外するために有用である。また、XPでもC群、E群、Ⅴ型ではMEDの低下は必ずしも明らかではない。

② 光線過敏症状:露光部に限局した特徴的な色素斑、皮膚萎縮、毛細血管拡張、皮膚がん)などの光老化の徴候が年齢に比して不相応に早期に出現している。

③ 生後早期の著明な日焼け

④ ①~③が見られた場合、XPを疑う。患者線維芽細胞を用いて、不定期DNA合成能の低下、紫外線致死感受性試験などの細胞学的修復能テストを行ない、臨床症状と合わせて鑑別を進めた上で遺伝子診断によって確定診断を行なう。XPの遺伝子診断は保険収載されており、神戸大学医学部附属病院、大阪医科大学附属病院において受け入れ可能である。

色素性乾皮症では光線過敏症状、露光部の皮膚がん発症などの臨床症状は共通しているものの、原因遺伝子は8種類あり、神経症状を伴うタイプと伴わないタイプ、光線過敏症状が重症型と軽症型があり、予後、生活指導が大きく異なるので、早期の遺伝子診断を行ない、その後の遮光による皮膚がん発症予防を進める意義は大きい。

治療と予後

根本的治療法はいまだ確立されておらず、皮膚科、小児科・神経内科、眼科、耳鼻科、整形外科、歯科、泌尿器科など多診療科の医師がチームを組んで、遮光指導、皮膚がんチェック、補聴器装用、リハビリ指導などの患者ケアにあたる。家庭、学校を含め日常生活空間で窓ガラスに紫外線カットフィルムを貼る。外出時には、帽子、衣類、サンスクリーン剤による厳重な遮光を行なう。個々の皮膚がんはステージ、発症部位、個数等に応じて外科的切除、イミキモドや5FUの外用などを選択する。生命予後を決めるのは神経症状であることが多いが、遮光が適切に行なわれなければ全患者で若年で皮膚がんを発症するため、生涯にわたる遮光を余儀なくされ、QOLは著しく低下する。診断が遅かった症例では、顔面の皮膚がんの断続的な外科的切除を強いられ、整容面でもQOLは著しく低下する。

成人期以降の注意点

早期診断ならびに患者の啓発が進み、露光部の皮膚がん発症は成人になってからのことも多くなったので、定期的な皮膚がんと眼症状の経過観察が必要。また、進行性の神経症状は思春期を過ぎてから顕著になるため、聴力低下、関節の拘縮、失調などに対する対処が必要である。
:バージョン1.1
更新日
:2015年6月11日
文責
:日本小児皮膚科学会