概念・定義
VATER 症候群は、V=椎体異常、A=肛門奇形、TE=気管食道瘻、R=橈骨奇形及び腎奇形という5徴候の頭文字の組み合わせで命名されている。VATER 症候群において、多系統にわたる先天異常が発症する機序は不明である。異常を持つ臓器の発生時期の多くが、原腸形成期であることから、この時期に胚の広い範囲に障害が起きていると推測されている。先天異常に対して外科的治療を進めるとともに、成長発達のフォローが必須である。
病因
VATER 症候群において、多系統にわたる先天異常が発症する機序は不明である。異常を持つ臓器の発生時期の多くが、原腸形成期であることから、この時期に胚の広い範囲に障害が起きていると推測されている。母体糖尿病やトリソミー18 の部分症状として VATER 症候群の症状を呈する場合がある事から、催奇形因子や遺伝子異常など、複数の異なる原因により類似する病態を呈すると考えられている。このため、「症候群」という用語の代わりに「連合」という用語で呼ばれる場合がある。ここで連合とは、高頻度に併存する奇形の組み合わせを指す。
疫学
約500名の患者がいると推定されている。
臨床症状
VATER 症候群は、V=椎体異常、A=肛門奇形、TE=気管食道瘻、R=橈骨奇形及び腎奇形という 5徴候の頭文字の組み合わせで命名され「VATER 5 徴候の3徴候以上」として診断されることが多い。
治療
多臓器にわたり障害が発症する機序は全く不明である。発症機序が未解明であることから、効果的な治療法は未確立である。多臓器に合併症を来すため、生直後から多面的な医療管理を必要とする。乳幼児期早期の生命予後を決めるのは先天性心疾患と呼吸器障害・消化管奇形である。すみやかに食道・気管の異常(食道気管瘻・食道閉鎖)、鎖肛・先天性心疾患の評価と治療を進める。必要に応じて、外科的治療をおこなう。併せて腎機能の評価、橈骨奇形の手術を進める。成長障害を合併することが多く、栄養・ 成長・リハビリ等の問題について、早期介入・継続的なフォローを必要とする。
予後
生涯にわたり、合併症ごとの継続的な治療とリハビリが必要である。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2018年1月31日
- 文責
- :日本小児遺伝学会