患者数
概要
5p-症候群は5番染色体短腕の部分欠失に基づく染色体異常症候群の一つである。 本症候群の頻度は15,000~50,000出生に1人とされ、また精神発達の遅れを示す患者350人に1人の割合を占めるとされる。小頭症、小顎症、発達の遅れ、筋緊張低下を主徴とする
原因の解明
本症候群の原因となる染色体構造変化として、約85%が責任領域の単純な欠失、約12%が不均衡型相互転座、約5%が二系統の構造異常による染色体モザイク、約1%が両親いずれかの持つ染色体逆位に由来した構造異常による発症とされる
主な症状
低出生体重(2,500 g未満)、成長障害、新生児期から乳児期に認める甲高い猫のなき声のような啼泣は高頻度に認められる特徴的所見である。この他に小頭、丸顔、眼間開離、小顎、内眼角贅皮、耳介低位などの顔貌所見や筋緊張低下、精神運動発達の遅れの所見を伴う。しかし、思春期から成人期以降では小頭が顕著になり、面長の顔や大きな口などが目立つようになり、筋緊張亢進へと変化するなど、年齢とともに臨床所見の変化を認める
主な合併症
循環器、泌尿生殖器、筋骨格、眼科、耳鼻科と多領域にわたる合併症があり、その半数が手術治療を要する
主な治療法
合併症に対する治療の他に、年代ごとに注意すべき問題点が異なるため、それに応じた治療、対応が必要となる。新生児期は主に呼吸症状や哺乳障害の治療、成長障害の管理が中心となる。合併症の治療が一段落した幼児から学童期以降では小児科定期検診の継続と、歯科、眼科の定期検診、リハビリ療法や幼稚園、小学校などでの特別支援教育の調整が勧められる
参考文献
『標準小児科学』 医学書院. 2013 「臨床医が知っておきたい先天異常」小児科臨床, 66suppl. 1269-1274, 2013
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日