1. 慢性消化器疾患
  2. 大分類: ヒルシュスプルング(Hirschsprung)病及び類縁疾患
38

ヒルシュスプルング(Hirschsprung)病

ひるしゅすぷるんぐびょう

Hirschsprung disease

告示

番号:36

疾病名:ヒルシュスプルング病

概念・定義

肛門から連続する無神経節腸管のため生後数日の間に機能性の腸閉塞症状で発見される。その後ヒルシュスプルング病と診断される。無神経節腸管の短い短域型では多くが乳児期に根治術が可能であるが、長域型以上その中でも全結腸型以上の症例は重症であり長域腸管蠕動不全のため人工肛門造設が必要であり、死亡症例も多い。特に全結腸以上の症例数は全体の10%程度と稀であるために調査も不十分なまま課題として残され、治療法の開発も遅れている。全結腸型以上については症例の蓄積を行い検討する必要がある。

疫学

ヒルシュスプルング病の頻度は、本邦の1998-2002年の全国調査1103例の解析では出生約5300人に1人とされ、全結腸以上の症例はそのうち9.4%(101例)であった。さらに小腸型は全症例の2.9%(31例)となっていた。合併奇形を22.8%に認め、その内容は、心奇形、腸閉鎖、中枢性低換気症候群、難聴、ダウン症などであった。

病因

ヒルシュスプルング病の原因遺伝子として既に10種類以上が同定されており、遺伝子異常で発症するタイプも明らかになっている。全結腸以上の症例に関しては家族発生例を認め、遺伝子異常によるものが多いという報告があるが、多くは散発性に発症すると考えられているためその多くは今なお原因不明である。

症状

胎便排泄遅延、腹部膨満で発症し、短域型の症例は慢性的な便秘症状で経過する場合もあるが、無神経節腸管の長さが長くなる症例では放置すると腸炎から敗血症へと至り死亡する症例も存在する。

治療

無神経節腸管の切除と口側正常腸管の肛門への吻合が根治術となる。全結腸以上にわたる症例では無神経節腸管切除による根治術後も、栄養吸収障害や水分管理目的で埋め込み型の中心静脈カテーテルの留置が必要な場合が多い。小腸型を含む無神経節腸管が広範囲に及ぶ症例には小腸移植あるいは多臓器移植を必要とする症例も存在する。

予後

1998-2002年の全国統計調査では、全症例1103例の死亡率が3.0%であるのに対し全結腸以上の死亡率は15.8%、小腸型では35.5%と高くなっていた。特に無神経節腸管の範囲がトライツ靭帯から75cm以内の口側に及ぶ症例に関しては83.3%であり、現状の外科的治療と栄養管理だけでは救命できない症例がほとんどである。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児外科学会