1. 慢性消化器疾患
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短腸症

たんちょうしょう

Short Bowel Syndrome

告示

番号:22

疾病名:短腸症

概念・定義

短腸症は小腸の大量切除に伴う吸収不良の状態と定義される。一般的に小腸の70-80%が切除すると厳重な栄養管理を要するとされる。小児における短腸症の原因としては壊死性腸炎、中腸軸捻転、小腸閉鎖など先天性腸疾患や外傷が原因となる。下痢、体重減少、脱水、栄養障害などが見られ、小児ではしばしば成長障害に陥る。

疫学

短腸症の小児例は、本邦での平成23年の全国調査では128例であり、中腸軸捻転が49例、小腸閉鎖が38例、壊死性腸炎が10例であった。男女比は79:49(男児62%)であった。診断時年齢は新生児期64%、乳児期13%、幼児期14%、学童以上で9%であった。

病因

中腸軸捻転は腸回転異常症から、小腸閉鎖は虚血性壊死から発生すると考えられている。残存小腸の長さや、部位、回盲弁の有無によって吸収障害の程度は影響を受ける。残存小腸に機能的、形態的なadaptationが起こるが、栄養吸収が不十分である場合は、初期の間もしくは永続的に中心静脈栄養法により管理することが必要である。

症状

症状は下痢、体重減少、脱水、栄養障害などが見られ、著しい場合は成長障害に陥る。症状は大きく分けると三期に分けることができる。第一期は多量の下痢に伴う水分と電解質の喪失である。第二期は残存腸管の再生が促進され、吸収能の改善と共に下痢が改善していく。第三期は腸管が十分に適応され、下痢がコントロールされて中心静脈栄養から離脱できるようになる。

治療

治療の一つは栄養管理で初期の段階では中心静脈栄養管理を行う。急性期が過ぎ病状が安定した段階で可及的速やかに経腸栄養を開始する。必須鵜脂肪酸や脂溶性ビタミンの欠乏に注意する。中心静脈栄養の離脱が困難と判断された場合は在宅経静脈栄養への移行を考慮する。外科的にはSTEP手術など腸管の長さを延長させ、吸収能を改善させる手技が報告されている。難治性の重症例などでは小腸移植の適応となる。

予後

平成23年の全国調査128例では90%近くの症例は生存しているものの、48%とおよそ半数近い症例が、中心静脈栄養に依存している。

参考文献

厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)総括研究報告書 小腸機能不全の治療指針の作成に関する研究(H23-難治-一般-041)
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児外科学会