概念
病因
神経病理
両側尾状核及び被殻、時に淡蒼球に、神経細胞脱落、壊死、グリオーシスを認める。病変が左右対称性であることを特徴とする。上記以外の部位には原則として病変を認めない
症状
乳幼児期に、発達の停止・退行、ジストニア・コレアなどの不随意運動、痙性麻痺、嚥下障害、体重増加不良などを、亜急性ないし慢性進行性に生じる。眼球運動異常、眼振、視神経萎縮を伴うこともある。しばしば感染症を契機に発症ないし増悪する
検査所見
頭部画像にて、両側尾状核及び被殻、時に淡蒼球に、左右対称性の病変を認める。CTにて低吸収域、MRIではT1強調像で低信号域、T2強調像で高信号域を示す
診断
頭部画像所見より診断する。上記に挙げた原因疾患の診断が重要である。鑑別診断として、両側基底核の障害される疾患が挙げられる。ハンチントン病、ウイルソン病、有機酸代謝異常症などの代謝変性疾患の他に、低酸素性虚血性脳症、急性散在性脳脊髄炎を含む脳炎、一酸化炭素などの中毒、血管炎がある
治療
原因疾患により異なる。サイアミントランスポーター2異常症は、biotin-(thiamine-) responsive basal ganglia disease (BBGD)と呼ばれ、ビオチン大量療法 (原著では5-10mg/kg/day、最近の論文では2-3mg/kg/day)とビタミンB1大量療法 (100-300mg/day)の併用が著効を示す。従って、乳児両側線条体壊死の患者を診療した場合には、まず両者の投与を開始し、併行して原因疾患の診断を進めていく。またミトコンドリア異常症を想定して、ビタミンB1に加え、コエンザイムQ10、ビタミンC、ビタミンB2、カルニチンなどの投与も検討する
予後
BBGDは上記の治療により著明に改善する。ただし治療の中止により再燃するので継続投与を要する。その他の原因疾患の場合には一般に神経学的予後は不良である
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児神経学会