概念・定義
疫学
欧州からの報告が多く、フィンランドでは人口10万人に4人程度とされる。国内での患者数は不明であるが、数十名程度と推定される
病因
CSTB遺伝子の異常による。産物であるシスタチンBの明確な役割は不明であるが、本来シスタチンBにより抑制されるべきカテプシンが、シスタチンBの欠損により増加することが病因であると考えられている。常染色体劣性遺伝形式をとり、多くはCSTB遺伝子内の12塩基反復配列のリピート重複による
症状
典型的には学齢期(6〜15歳頃)にミオクローヌス発作、全般性強直間代性けいれんにより発症し、緩徐進行性の経過をとる。ミオクローヌス発作は身体活動、精神的ストレス、光刺激などによって容易に誘発される。体軸筋に多くみられ非同期性である。ミオクローヌス重積をきたすことがある。脳波所見上、光誘発性の全般性棘徐波複合または多棘徐波複合が特徴的である。頭部MRI検査では異常を認めない。5〜10年の経過でミオクローヌスの増加により歩行困難となることが多いとされてきたが、長期間にわたり症状の増悪が軽微な症例の報告もある。全般性強直間代性けいれんは薬物療法が有効なことが多いが、ミオクローヌスは治療抵抗性のことが多く、抑うつや軽度の認知機能の低下が起こることがあるとされている
治療
現時点では対症療法にとどまり、けいれん発作、ミオクローヌス発作などに対する薬物療法やリハビリテーションが行われる。また学歴に発症する緩徐進行性の疾患であり、環境整備などの社会的支援や精神心理学的支援なども重要な位置を占める
予後
従来は発症から15年程度の経過で30歳以前に死亡するとされてきたが、近年では薬物療法、理学療法、精神社会的支援などの改善により、生命予後はほぼ健常人と同等とされている
参考文献
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児神経学会