疾患概念
平均発症年齢は7歳(11か月~12歳6か月)で、主症状は,特徴的な脳波異常を伴うミオクロニー欠神発作(意識は曇り、両上肢を中心とする四肢の律動的なミオクロニー性攣縮と強直性収縮を特徴とする特異な発作型)である。強直間代発作を認める場合がある。様々な程度の知的障害や行動障害を伴うことがある。
疫学
詳細な疫学情報はないが、まれであり患者数は国内で100人未満と推測される。
病因
原因は不明であり、遺伝子異常の報告もあるが、疾患特異的なものはない。
臨床症状
主とするてんかん発作はミオクロニー欠神発作で、全般性強直間代発作を伴うこともある。
検査所見
- 画像検査所見:特異的所見なし。
- 生理学的所見:脳波とポリグラフ
- 発作間欠期脳波:
- 背景活動は正常だが、まれに徐波化傾向を認める。全般性棘徐波がみられることもあるが、焦点性・多焦点性棘波もあり。
- 発作時脳波:
- 3 Hzの両側同期対称性の棘・徐波律動が典型的。ポリグラフではミオクロニーと棘波成分は時間的に一致しており、ミオクロニーは強直性筋収縮を伴う。
診断
発症は7歳(11か月~12歳6か月)。
A. 症状
両側同期性、左右対称性の律動的な 3Hz棘徐波複合の脳波に伴い、近位筋優位に上肢を中心とする四肢の律動的なミオクロニー性攣縮と強直性収縮を特徴とする特異なミオクロニー欠神発作をもつ。知的障害を伴う。
B. 検査所見
- 血液・生化学的検査所見:特異的所見なし。
- 画像検査所見:特異的所見なし。
- 生理学的所見:脳波とポリグラフ
- 発作間欠期脳波:
- 背景活動は正常だが、まれに徐波化傾向を認める。全般性棘徐波がみられることもあるが、焦点性・多焦点性棘波もあり。
- 発作時脳波:
- 3 Hzの両側同期対称性の棘・徐波律動が典型的。ポリグラフではミオクロニーと棘波成分は時間的に一致しており、ミオクロニーは強直性筋収縮を伴う。
C. 鑑別診断
小児欠神てんかん、若年ミオクロニーてんかん、レノックス・ガストー症候群、環状20番染色体症候群などを鑑別する。
診断のカテゴリー
A. 症状から本疾病を疑い、B.3. 脳波所見、及び C. の鑑別を行い確定する。診断の際の留意点/鑑別診断
診断には、特異なミオクロニー欠神発作の診断が重要である。3Hzの両側同期対称性の棘徐波律動を示す脳波所見と、ポリグラフにおける強直性筋収縮を伴うミオクローヌスが必須である。間代性の軽微なミオクローヌスを伴う欠神発作をもつ小児欠神てんかんや若年ミオクロニーてんかんなどと鑑別が必要。
合併症
様々な程度の知的障害や発達障害、行動障害を伴うことがある。
治療
バルプロ酸、エトスクシミド、ラモトリギンをはじめ種々の抗てんかん薬が用いられる。
予後
一部の症例では治療抵抗性である。最終的には7割近くが知的障害を伴う。
研究班
平成26~28年度厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「希少難治性てんかんのレジストリ構築による総合的研究」
平成29~31年度厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「稀少てんかんに関する調査研究」
令和2~4年度厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「稀少てんかんに関する包括的研究」
成人期以降の注意点
治療抵抗性であるが、長期的には寛解する症例もある。しかし、発作が抑制されても、発達正常域の症例は少ない。
参考文献
- 稀少てんかんの診療指標 日本てんかん学会編集 診断と治療社 初版 2017年04月17日発行
- 版
- :第1版
- 更新日
- :2021年11月1日
- 文責
- :日本小児神経学会