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脆弱X症候群

ぜいじゃくえっくすしょうこうぐん

Fragile X syndrome

告示

番号:35

疾病名:脆弱X症候群

概念・定義

X 染色体長腕末端部の FMR1 遺伝子に存在する3塩基(CGG)繰り返し配列が、代を経るごとに延長するために発症するトリプレットリピート病の一つである。50 から 200 の CGG 繰り返し配列をもつヒトのなかで、脆弱 X 随伴振戦/失調症候群といった脆弱 X 症候群関連疾患を発症することがある。この CGG 繰り返し配列が 200 を超えると小児期から知的障害や発達障害を伴う、脆弱 X 症候群となる。

病因

染色体 Xq27.3 に存在する FMR1遺伝子の異常により発症する。患者では、遺伝子内の3塩基(CGG)繰り返し配列が延長している。正常では 50 以下の繰り返し配列数であるが、脆弱 X 症候群関連疾患では 50~ 200 繰り返し配列、脆弱 X 症候群では 200 を超える繰り返し配列が認められる。遺伝子異常により神経細胞の核内に凝集体が形成され、神経細胞の機能障害になることが推測されている。

臨床症状

脆弱 X 症候群関連疾患では、50 歳を過ぎてから、進行性の小脳失調、パーキンソン様症状、認知障害、 精神症状などが発症し、その症状は進行する。 脆弱 X 症候群では、男性患者は発達障害や重度の知的障害を伴う。身体的には細長い顔、大耳介、巨大睾丸が特徴とされている。思春期以降、様々な精神症状を呈することも多く、15%から 20%程度の男性患者はてんかんを伴う。関節の過伸展、扁平足、僧帽弁逸脱症、斜視、中耳炎、胃食道逆流症による摂食障害なども合併することがある。

治療

現在、本質的な治療法は研究段階であり、特別な治療法はまだない。そのため対症療法が中心となり、精神症状に対する向精神薬投与を行ったり、僧帽弁逸脱症、斜視、中耳炎、胃食道逆流症による摂食障害などの症状に応じて個々に対応する必要がある。

予後

発症すると症状は進行していく。
:バージョン1.0
更新日
:2018年1月31日
文責
:日本小児神経学会