1. 神経・筋疾患
  2. 大分類: 遺伝子異常による白質脳症
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皮質下嚢胞をもつ大頭型白質脳症

ひしつかのうほうをもつだいとうがたはくしつのうしょう

megaloencephalic leukoencephalopathy with subcortical cysts

告示

番号:6

疾病名:皮質下嚢胞をもつ大頭型白質脳症

概念・定義

稀な白質萎縮症のひとつである。生後1歳までに大頭症、数年後に小脳失調、精神運動発達遅滞、痙性が出現し、退行していく。頭部MRIで、びまん性の腫脹、小脳白質の腫脹、側頭葉前部や前頭頭頂部に皮質下嚢胞がある。典型的な臨床症状と特徴的な頭部MRI所見から診断する。MLC遺伝子異常を伴うMLC1、HEPACAM遺伝子異常を伴うMLC2A、HEPACAM遺伝子異常を伴うMLCのうち軽症のMLC2Bの3つに分類される。

疫学

まれな疾患と考えられるが、疫学調査がなされておらず、頻度は不明である

病因

MLC1型は、22q13.33に存在するMLC1遺伝子の、MLC2A型は、11q24に存在するHEPACAM遺伝子の常染色体劣性遺伝形式による。また、軽症型であるMLC2B型は、HEPACAM遺伝子の常染色体優性遺伝形式による。MLC1遺伝子異常は本疾患の75%を、HEPACAM遺伝子異常は本疾患の20%を占める。

症状

(1)MLC1、MLC2A: 大頭症が出生から1歳までに出現し、98%タイルで成長する。早期の発達は正常か軽度の遅滞で、独歩獲得は可能だが、数年後に小脳性運動失調や軽度の痙縮と運動機能障害が出現し、大半は10代で車いす生活になる。また、構音障害、嚥下障害やジストニアやアテトーゼと錐体外路運動異常が出現することがある。知的障害も生じるが、軽度である。内服コントロール可能なてんかんを合併する。てんかん重積状態となる症例もある。 (2)MLC2B 大頭症が出生から1歳までに出現し、98%タイルで成長する。成長とともに正常範囲となる症例もある。早期の発達は正常か軽度の遅滞で、独歩獲得は可能である。一部不器用さや筋緊張低下が残るが、運動発達は概ね良好である。知的障害や自閉症を伴う例がある。退行はない。内服コントロール可能なてんかんを合併する。てんかん重積状態となる症例もある

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児神経学会