概念・定義
疫学
古典型滑脳症の頻度は出生数10万に対し1.18と報告されているが、MRIが普及する以前の調査であり正確には不明である
病因
症状・検査所見
脳形成異常の程度により重症度が異なる。古典型滑脳症ではてんかん発作、特に点頭てんかんと低緊張性の脳性麻痺、知的障害を併発することが多い。Miller-Dieker症候群では、顔貌異常(小頭だが広い額,側頭部の陥凹,四角い顔,短く小さい鼻,上向きの鼻孔,薄い上口唇,小顎,耳介低位)を認め,他の内臓奇形を伴うこともある。皮質下帯状異所性灰白質ではてんかん発作と知的障害が主体で、運動障害は少ない。脳室周囲異所性灰白質ではてんかん発作が主体であり、無症状の症例もみられる。多小脳回は、シルビウス裂を主体とする病変が半数以上の症例に認められ,構語障害、嚥下障害などの偽性球麻痺症状の併発および知能や他の運動機能に比べて偽性球麻痺症状が強い(傍シルビウス裂症候群)
治療
てんかんに対する薬物治療,発達障害に対するリハビリテーション,呼吸・栄養などの全身管理、遺伝相談が基本となる。てんかん発作は難治であることが多く、薬剤が多剤多量になりやすいので、日常生活に影響を与えず、生活の質を下げないことを目標とする
予後
病変は非進行性である。外性器異常を伴うX連鎖性滑脳症とMiller-Dieker症候群は神経症状は重度で全身状態も悪化しやすく、生命予後は不良である
参考文献
加藤光広:神経系の発生,中枢神経系奇形,migrationの異常.小児神経学テキスト 診断と治療社 第2章神経形成異常 30-39, 2008. 加藤光広:脳形成障害(含:滑脳症、多小脳回、脳梁欠損症).今日の神経疾患治療指針 第2版 621-623, 2013.
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児神経学会、日本小児神経外科学会