疾患概念
周期性血小板減少症は、血小板減少と正常血小板数への回復が一定の周期で繰り返される血液疾患である。本症の周期形成の機序として、
(1)巨核球の産生変化、
(2)巨核球内での血小板産生変化、
(3)血小板の破壊の変動、
が推察され成因の多様性が示唆される。
疫学
極めて稀な疾患で、その成因、病態、経過も様々である。特発性血小板減少性紫斑病として管理される症例もあり注意を要す。3か月以上の血小板数正常期を認めた後に血小板数が減少する場合、反復性特発性血小板減少性紫斑病の可能性が高く、本症としては除外する。
臨床症状
典型例では3~5週ごとに血小板減少がみられ、特に成人女性では生理期間中に血小板減少がおこることが多い。重篤な血小板減少や著しい反跳血小板増加症が認められることもある。周期性血小板減少症の診断基準に確定的なものはなく、特発性血小板減少症:ITPと判断され治療されていることも多い。血小板増加の時期でも血小板数の最高値が10万/μl未満の症例も存在する。また、薬剤やウイルス感染症の影響で血小板数が変動することもあるので、薬剤や感染症の影響がないか、慎重に経過観察する必要がある。
治療
無治療経過観察あるいは対症療法が原則である。ステロイドの有効性は低く、脾摘、卵巣摘出はほとんど無効とされる。ガンマグロブリン大量療法が一過性に有効な症例が存在する。
予後
基本的に良好とされる。
文献
- 吉田信之、徳島美代子、古賀広幸、他:周期性血小板減少症の一例、臨床血液 2000 ; 41, 10:1097
- Al-Rashid RA.: Idiopathic cyclic thrombocytopenia of childhood. Am J Pediatr Hematol Oncol. 1989; 11:40-43.
- 青木頼子、藤沢康司、池上真由美、他:免疫グロブリン大量療法が奏功した周期性血小板減少症の1例、臨床血液、1988; 29:705-710.
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会