1. 膠原病
  2. 大分類: 自己炎症性疾患
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15から23までに掲げるもののほか、自己炎症性疾患

そのた、じこえんしょうせいしっかん

Other autoinflammatory diseases

告示

番号:22

疾病名:13から21までに掲げるもののほか、自己炎症性疾患

概要(Adenosine deaminase 2(ADA2)欠損症)

 家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。

NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。

CECR1遺伝子の変異によるADA2酵素活性の低下/欠損を原因とする常染色体劣性の遺伝性疾患である。繰り返す発熱、蔓状皮斑やレイノー症状等の皮膚症状、麻痺や痺れなどの神経症状、眼症状(中心静脈閉塞や視神経萎縮、第3脳神経麻痺など)などを主症状とし、血管炎を基本病態とする遺伝性の結節性多発動脈炎様疾患として2014年に報告された。その後、白血球減少や貧血、血小板減少、低ガンマグロブリン血症、自己免疫性リンパ増殖性疾患様症状など、多彩な臨床像を呈する事が明らかとなっている。又、多くの症例は学童期までに発症するものの、同じ変異を持つ患者同士、さらには同じ家系内の患者同士でも症状や発症年齢に大きな差が認められることが知られている。

病因

ADA2は細胞外に於いてアデノシンをイノシンへ分解する反応を触媒する酵素である。ADA2の低下/欠損により炎症抑制性M2マクロファージへの分化障害や血管内皮障害が生じる等の可能性が提唱されている。
一方、Diamond-Blackfan様赤芽球癆、白血球減少、低ガンマグロブリン血症等を呈する症例も報告されており、ADA2には成長因子としての作用がある事も示唆されるが、現時点でその病態は明らかではない。

疫学

2014年の初報告以降,世界で百数十例の報告がある。本邦では2017年12月時点で8例が確認されている。

臨床症状

繰り返す発熱、蔓状皮斑やレイノー症状等の皮膚症状、血管炎による麻痺や痺れなどの神経症状、眼症状(中心静脈閉塞や視神経萎縮、第3脳神経麻痺など)、腹部症状(腹痛,腹部血管障害等)、筋肉痛や関節痛、肝脾腫、リンパ節腫脹、関節痛、易感染性、等が認められる。

検査所見

①画像検査:虚血性(特に出血性)梗塞や動脈瘤の存在
②組織検査:好中球性の炎症所見や血管炎
③血液検査:白血球減少(好中球・リンパ球・単球)・貧血・血小板減少、低ガンマグロブリン血症、或いは炎症反応の上昇

診断の際の留意点

繰り返す・持続する発熱、網状皮斑やレイノー症状等の皮膚症状、麻痺や痺れ等の中枢・末梢神経症状、炎症反応の上昇、血球減少、低ガンマグロブリン血症、等より本症を疑う。
診断はCECR1遺伝子検査、及びADA2酵素活性測定により確定する。
同じ遺伝子変異を持つ患者同士、さらには同じ家系内の患者同士でも症状や発症年齢に大きな差が認められる為、非典型的な症状であっても本疾患を疑うことが重要である。

治療

ステロイド(中等量~高容量)に対して概ね反応を示すが、減量に伴い再燃し依存性となる事が多い。
免疫抑制剤やIVIGが併用されるが抵抗性である。
炎症症状に対して現時点で最も有効性が期待されるのは抗TNF-α療法であるが、血球減少や貧血に対する効果は期待できない。
造血幹細胞移植の有効性が報告されており、現時点で唯一根治的な治療法と考えられている。

合併症

血管閉塞による脳梗塞や神経障害、腎梗塞による高血圧、白血球減少や低ガンマグロブリン血症による感染症を合併する。

予後

脳梗塞や神経障害、臓器梗塞病変、感染症、重症貧血などを合併し予後不良となり得る。
但し、2014年に責任遺伝子が報告されたばかりであり、同じ遺伝子異常を有する家族間でも発症年齢や症状に大きな差が認められるため、長期的な予後は不明である。

成人期以降の注意点

2014年に責任遺伝子が報告されたばかりであり、長期予後は不明である。
同じ遺伝子異常を有する家族間でも発症年齢や症状に大きな差が認められ、成人後に発症する症例も報告されている。
そのため、若年期に無症状であっても生涯にわたる観察が必要である。

参考文献

  1. Hashem H, Kelly SJ, Ganson NJ, Hershfield MS. Deficiency of Adenosine Deaminase 2 (DADA2), an Inherited Cause of Polyarteritis Nodosa and a Mimic of Other Systemic Rheumatologic Disorders. Curr Rheumatol Rep. 19:70. 2017.
  2. Hashem H, Kumar AR, Müller I, Babor F, Bredius R, Dalal J, Hsu AP, Holland SM, Hickstein DD, Jolles S, Krance R, Sasa G, Taskinen M, Koskenvuo M, Saarela J, van Montfrans J, Wilson K, Bosch B, Moens L, Hershfield M, Meyts I; Deficiency of Adenosine Deaminase Type 2 Foundation. Hematopoietic stem cell transplantation rescues the hematological, immunological, and vascular phenotype in DADA2. Blood. 130:2682-2688. 2017.
  3. Nanthapisal S, Murphy C, Omoyinmi E, Hong Y, Standing A, Berg S, Ekelund M, Jolles S, Harper L, Youngstein T, Gilmour K, Klein NJ, Eleftheriou D, Brogan PA. Deficiency of Adenosine Deaminase Type 2: A Description of Phenotype and Genotype in Fifteen Cases. Arthritis Rheumatol. 68:2314-22. 2016.
:バージョン2.0
更新日
:2018年4月1日
文責
:日本小児リウマチ学会