概要(Adenosine deaminase 2(ADA2)欠損症)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
CECR1遺伝子の変異によるADA2酵素活性の低下/欠損を原因とする常染色体劣性の遺伝性疾患である。繰り返す発熱、蔓状皮斑やレイノー症状等の皮膚症状、麻痺や痺れなどの神経症状、眼症状(中心静脈閉塞や視神経萎縮、第3脳神経麻痺など)などを主症状とし、血管炎を基本病態とする遺伝性の結節性多発動脈炎様疾患として2014年に報告された。その後、白血球減少や貧血、血小板減少、低ガンマグロブリン血症、自己免疫性リンパ増殖性疾患様症状など、多彩な臨床像を呈する事が明らかとなっている。又、多くの症例は学童期までに発症するものの、同じ変異を持つ患者同士、さらには同じ家系内の患者同士でも症状や発症年齢に大きな差が認められることが知られている。
病因
ADA2は細胞外に於いてアデノシンをイノシンへ分解する反応を触媒する酵素である。ADA2の低下/欠損により炎症抑制性M2マクロファージへの分化障害や血管内皮障害が生じる等の可能性が提唱されている。
一方、Diamond-Blackfan様赤芽球癆、白血球減少、低ガンマグロブリン血症等を呈する症例も報告されており、ADA2には成長因子としての作用がある事も示唆されるが、現時点でその病態は明らかではない。
疫学
2014年の初報告以降,世界で百数十例の報告がある。本邦では2017年12月時点で8例が確認されている。
臨床症状
繰り返す発熱、蔓状皮斑やレイノー症状等の皮膚症状、血管炎による麻痺や痺れなどの神経症状、眼症状(中心静脈閉塞や視神経萎縮、第3脳神経麻痺など)、腹部症状(腹痛,腹部血管障害等)、筋肉痛や関節痛、肝脾腫、リンパ節腫脹、関節痛、易感染性、等が認められる。
検査所見
①画像検査:虚血性(特に出血性)梗塞や動脈瘤の存在
②組織検査:好中球性の炎症所見や血管炎
③血液検査:白血球減少(好中球・リンパ球・単球)・貧血・血小板減少、低ガンマグロブリン血症、或いは炎症反応の上昇
診断の際の留意点
繰り返す・持続する発熱、網状皮斑やレイノー症状等の皮膚症状、麻痺や痺れ等の中枢・末梢神経症状、炎症反応の上昇、血球減少、低ガンマグロブリン血症、等より本症を疑う。
診断はCECR1遺伝子検査、及びADA2酵素活性測定により確定する。
同じ遺伝子変異を持つ患者同士、さらには同じ家系内の患者同士でも症状や発症年齢に大きな差が認められる為、非典型的な症状であっても本疾患を疑うことが重要である。
治療
ステロイド(中等量~高容量)に対して概ね反応を示すが、減量に伴い再燃し依存性となる事が多い。
免疫抑制剤やIVIGが併用されるが抵抗性である。
炎症症状に対して現時点で最も有効性が期待されるのは抗TNF-α療法であるが、血球減少や貧血に対する効果は期待できない。
造血幹細胞移植の有効性が報告されており、現時点で唯一根治的な治療法と考えられている。
合併症
血管閉塞による脳梗塞や神経障害、腎梗塞による高血圧、白血球減少や低ガンマグロブリン血症による感染症を合併する。
予後
脳梗塞や神経障害、臓器梗塞病変、感染症、重症貧血などを合併し予後不良となり得る。
但し、2014年に責任遺伝子が報告されたばかりであり、同じ遺伝子異常を有する家族間でも発症年齢や症状に大きな差が認められるため、長期的な予後は不明である。
成人期以降の注意点
2014年に責任遺伝子が報告されたばかりであり、長期予後は不明である。
同じ遺伝子異常を有する家族間でも発症年齢や症状に大きな差が認められ、成人後に発症する症例も報告されている。
そのため、若年期に無症状であっても生涯にわたる観察が必要である。
参考文献
- Hashem H, Kelly SJ, Ganson NJ, Hershfield MS. Deficiency of Adenosine Deaminase 2 (DADA2), an Inherited Cause of Polyarteritis Nodosa and a Mimic of Other Systemic Rheumatologic Disorders. Curr Rheumatol Rep. 19:70. 2017.
- Hashem H, Kumar AR, Müller I, Babor F, Bredius R, Dalal J, Hsu AP, Holland SM, Hickstein DD, Jolles S, Krance R, Sasa G, Taskinen M, Koskenvuo M, Saarela J, van Montfrans J, Wilson K, Bosch B, Moens L, Hershfield M, Meyts I; Deficiency of Adenosine Deaminase Type 2 Foundation. Hematopoietic stem cell transplantation rescues the hematological, immunological, and vascular phenotype in DADA2. Blood. 130:2682-2688. 2017.
- Nanthapisal S, Murphy C, Omoyinmi E, Hong Y, Standing A, Berg S, Ekelund M, Jolles S, Harper L, Youngstein T, Gilmour K, Klein NJ, Eleftheriou D, Brogan PA. Deficiency of Adenosine Deaminase Type 2: A Description of Phenotype and Genotype in Fifteen Cases. Arthritis Rheumatol. 68:2314-22. 2016.
- 版
- :バージョン2.0
- 更新日
- :2018年4月1日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会
概念(自己炎症合併フォスフォリパーゼCγ2関連抗体欠損免疫異常症)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
自己炎症合併フォスフォリパーゼCγ2関連抗体欠損免疫異常症は、反復性の水疱症、間質性肺炎、関節炎、炎症性眼疾患、腸炎、蜂窩織炎、肺副鼻腔感染症を伴う軽度の免疫不全症を症状とするPLGC2遺伝子異常症である1)。PLAIDと違い、寒冷蕁麻疹は伴わない。ただし、PLAIDで欠失するC末SH2領域内にあるp.Ser707Tyr変異の1家系のみである。
病因
PLAIDでは生理的な温度では、PLGC2活性の低下を認めたが、p.Ser707Tyr変異では生理的な温度でも活性の亢進を認める。血清IgA, IgMの低下を認め、クラススイッチB細胞の低下を認め、肺や副鼻腔感染症合併の原因であることを示唆する。しかしPLAIDと異なり、PLCG2刺激に対してB細胞の増殖、IgGの産生能には異常を認めなかった。PLCG2活性化により、各組織の炎症が如何に発症しているか詳細は不明である。
疫学
非常に稀な疾患であり、現時点では本邦での報告はまだない。全世界でもこれまでに1家系の報告しかない。
臨床症状
反復性の水疱症、間質性肺炎、関節炎、炎症性眼疾患、腸炎、蜂窩織炎、肺副鼻腔感染症を合併する。PLAIDに見られる寒冷誘発蕁麻疹はない。
診断
①各疾患にみられる特徴的な症状を認める。
②疾患関連遺伝子変異が同定される。
以上の2項目を満たす症例をその他の自己炎症性疾患と診断する。
【自己炎症合併フォスフォリパーゼCγ2関連抗体欠損免疫異常症】
特徴的な所見より臨床的に同疾患を疑い、遺伝子検査で確定する。
治療
NSAIDs、抗TNF-α製剤に不応性であったが、抗IL-1療法に対して部分的に反応した。高用量副腎皮質ホルモンに対しては良好な反応を示した。
予後
現在の所、不明である。
文献
1)Zhou, Q.et al. A hypermorphic missense mutation in PLCG2, encoding phospholipase Cgamma2, causes a dominantly inherited autoinflammatory disease with immunodeficiency.American journal of human genetics 91, 713-720 (2012).
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会
概念(Caspase recruitment domein-containing protein 14(CARD14)異常症)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
CARD14遺伝子は、常染色体優性遺伝形式で発症する尋常性乾癬や膿疱性乾癬の責任遺伝子として同定された。また、類似の疾患であるfamilial pityriasis rubra pilarisの責任遺伝子であることも判明している。
病因
7番染色体の17q25に位置するCARD14遺伝子の機能欠損変異により発症する。遺伝形式は常染色体優性遺伝形式である。CARD14は上皮角化細胞特に基底層に発現しNF-κBの活性化に関わる。疾患関連変異CARD14はNF-κBを活性化し、皮膚角化細胞から、IL-8、CCL20、IL36Gの発現を誘導し、皮膚における炎症を惹起する。
疫学
本邦での患者数は不明である。
臨床症状
尋常性乾癬の大家系と膿疱性乾癬の孤発例に CARD14 遺伝子異常が同定されたが、乾癬もしくは乾癬性関節炎のどのぐらいの割合の症例において、CARD14変異が関わっているかは、まだ不明である。またCARD14変異のある乾癬もしくは乾癬性関節炎の臨床的な特徴はまだ報告されていない。
一方familial pityriasis rubra pilarisは、pityriasis rubra pilarisの約5%に相当するV型のatypical juvenile typeに相当する。4家系よりCARD14の変異が同定され、いずれも境界明瞭な癒合性のある紅斑を認め、一部正常な皮膚を残し、毛包性丘疹、掌蹠角化症を伴い、乾癬に伴うような爪病変は示さない特徴を持っている。発症年齢は4-36か月と若年発症である。
診断
特徴的な所見より臨床的に同疾患を疑い、遺伝子検査で確定する。
治療
通常の乾癬は副腎皮質ステロイド薬、ビタミンD3外用薬、紫外線照射、レチノイド、シクロスポリン、TNF-α阻害剤、ヒト型抗ヒトIL-12/23 p40モノクローナル抗体製剤が用いられている。重症の膿疱性乾癬に対しアナキンラ治療の報告もある。
Familial pityriasis rubra pilarisではレチノイド、シクロスポリン、TNF-α阻害剤の有効性が知られている。しかし、CARD14異常による乾癬の特異的な治療は現時点では存在しない。
予後
CARD14異常による乾癬の予後は現時点では不明である。familial pityriasis rubra pilarisは治療抵抗性で、慢性の経過をとる。
文献
- Jordan, C.T., et al. PSORS2 is due to mutations in CARD14. American journal of human genetics 2012;90:784-795.
- Jordan, C.T., et al. Rare and common variants in CARD14, encoding an epidermal regulator of NF-kappaB, in psoriasis. American journal of human genetics 2012;90:796-808.
- Fuchs-Telem, D., et al. Familial pityriasis rubra pilaris is caused by mutations in CARD14. American journal of human genetics 2012;91:163-170.
- Viguier M, et al. Successful treatment of generalized pustular psoriasis with the interleukin-1-receptor antagonist Anakinra: lack of correlation with IL1RN mutations.
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2015年3月31日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会
概念(ケルビズム)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
ケルビズム(Cherubism)は、上顎または下顎の進行性無痛性両側性拡大を来す疾患であり、病変部位おいて骨融性病変と軟部組織の線維性軟骨異形成を認める。マクロファージの過剰反応により炎症性サイトカイン前駆体や破骨細胞新生に関わるサイトカインが過剰産生され、破骨細胞の産生が亢進し、炎症部位に破骨細胞は過剰に集積することが背景にあると考えられている。
疫学
これまで世界で200例以上の報告がなされているが、頻度は不明である。
原因
Cherubism の家族発症型についてはSH3BP2が責任遺伝子として知られており、そのミスセンス変異により常染色体優性遺伝形式にて発症する。その変異はSH3BP2のプレクストリン相同ドメインのアミノ末端部位からSH2ドメインのカルボシキル末端の間に集積している。同遺伝子はde novoの変異が高頻度にみられることが知られており、Cherubismが発症家系においてもその表現型が多様であることの理由とされている。
マウスモデルでの解析ではSH3BP2は変異により細胞内での分解が障害され、SH3BP2が細胞内で安定化する。これによりRANKLやM-CSFにより誘導されるSYKシグナルが増強され、NFATc1依存性の破骨細胞の新生が促進される。結果として全身におけるTNF-αの産生や、M-CSFによる破骨細胞の新生が亢進されると考えられている。
症状
典型例は2~5才ごろに発症する。経過中に線維性軟骨異形成により軟部組織が腫大し、頬部の膨らみや眼球の上方編位が生じ、本疾患で特徴的な「cherubic(天使のような)」顔貌となる。病変部位はほとんどが頭顔部位に限局するが、時に肋骨病変を認めることがある。
診断
①各疾患にみられる特徴的な症状を認める。
②疾患関連遺伝子変異が同定される。
以上の2項目を満たす症例をその他の自己炎症性疾患と診断する。
【ケルビズム】
身体所見として下顎・上顎骨の拡大、歯牙の異常から本疾患を疑う。レントゲンにおいて下顎骨が両側性に腫大し、骨融解に伴う”soap bubble appearance”を認める。骨組織像は巨細胞性腫瘍と類似して、病初期段階では破骨細胞様の多核巨細胞を伴う骨融解病変を認める。その後の修復期においては線維芽細胞が集積し、骨芽細胞による骨新生を認めるようになる。Noonan 症候群やRamon症候群、脆弱X症候群でも類似した症状を認めることから鑑別を要する。確定診断はSH3BP2遺伝子の遺伝子診断であるが、cherubismにおいて同遺伝子の変異認めるのは約75%である。
合併症
下顎や上顎の腫大、眼球の上方偏位により外観が損なわれるとともに、咬合の異常、歯の位置異常、乏歯症を呈する。一部の症例では病変の眼窩内への進展により、視覚障害を呈することがある。
治療法
下顎拡大や局所的な侵襲性病変により外観が損なわれる場合や、機能障害を呈する場合、歯列矯正や病変部位の掻爬術、骨移植が行われる。またその病態にTNF-αが関与していることから重症例に対し抗TNF療法が検討されている。
予後
上顎または下顎の進行性無痛性両側性拡大はほとんどの症例において青年期において自然軽快がみられる。
参考文献
[1] M.E. Papadaki, et al. Cherubism: best clinical practice, Orphanet J. Rare Dis. 7 (1) (May 2012) S6.
[2] Y. Ueki, et al. Mutations in the gene encoding c-Abl-binding protein SH3BP2 cause cherubism. Nat. Genet.2001;28:125–126.
[3] E.J. Reichenberger, et al. The role of SH3BP2 in the pathophysiology of cherubism, Orphanet J. Rare Dis. 7 (1) (May 2012) S5.
[4] A. GuezGuez, et al. 3BP2 Adapter protein is required for receptor activator of NFkappaB ligand (RANKL)-induced osteoclast differentiation of RAW264.7 cells, J. Biol. Chem. 2010;285:20952–20963.
[5] Y. Ueki, et al. Increased myeloid cell responses to M-CSF and RANKL cause bone loss and inflammation in SH3BP2 ‘cherubism’ mice. Cell 2007;128:71–83.
[6] Henner Morbach, et al. Autoinflammatory bone disorders, Clinical Immunology 2013;147:185–196.
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会
概念(IL-10/IL-10受容体遺伝子異常症)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
IL-10/IL-10受容体遺伝子異常症は、IL-10遺伝子、IL-10受容体遺伝子の変異により、乳児期早期に発症する致死的な炎症性腸疾患を来す稀な疾患であり、トルコ、アラブなど中東を中心に報告されている。特に近親婚の家系に多く見られることが報告されています。
病因
IL-10は消化管免疫の調節において重要な役割を果たしており、腸内細菌からの刺激に対して、過剰な腸管炎症が起こらないよう制御している。IL-10はSTAT3のリン酸化を介してTNFαやその他の炎症性サイトカインの産生を抑制する働きがありますが、IL-10/IL-10受容体遺伝子異常症ではTNFαを含む炎症性サイトカインの産生が過剰となり、この事が病態に関係していると考えられています。 IL-10受容体異常症の責任遺伝子にはIL-10RA遺伝子(11q23)とIL-10RB遺伝子(21q22)が同定されており、常染色体劣性遺伝形式をとります。
疫学
稀な疾患であり、本邦での患者数は不明である。現時点で論文報告はない。
症状
典型的には1歳までに発症する治療抵抗性の炎症性腸疾患であり、慢性の腹痛や下痢、血便、体重減少などを認める。多くは重症の肛門病変を伴い、膿瘍形成、裂肛、腸管皮膚瘻、直腸膣瘻などを合併する。また、しばしば部分或いは全結腸摘出術が必要となる。IL-10受容体遺伝子異常症のPBMCを用いたin vitroの機能解析では、IL-10刺激後にIL-10受容体のシグナル経路であるSTAT3のリン酸化が障害される事を確認する。また、IL-10受容体遺伝子異常症患者のPBMCは、IL-10を投与してもLPS刺激後のTNFα産生が抑制されない。
合併症
消化管外症状として慢性毛包炎や関節炎、反復呼吸器感染症を合併することがある。
診断
①各疾患にみられる特徴的な症状を認める。
②疾患関連遺伝子変異が同定される。
以上の2項目を満たす症例をその他の自己炎症性疾患と診断する。
【IL-10/IL-10受容体遺伝子異常症】
特徴的な所見より臨床的に同疾患を疑い、遺伝子検査で確定する。
治療法
ステロイドやメソトレキセート、サリドマイド、抗TNFαモノクローナル抗体など、通常の炎症性腸疾患に対する治療は無効であることが多い。報告例は少数だが、同種造血幹細胞移植が寛解導入に有効とされており、唯一の根治療法と考えられている。
予後
致死的であり予後は不良とされているが、同種造血幹細胞移植後、寛解が維持できている症例も報告されている。(5例移植中5例で寛解維持できており、フォロー期間の中央値は2年)。
文献
1. Glocker EO, et al. Infant colitis--it's in the genes. Lancet. 2010;376:1272.
2. Glocker EO, et al. Inflammatory bowel disease and mutations affecting the interleukin-10 receptor. The New England journal of medicine. 2009;361:2033-45.
3. Kotlarz D, et al. Loss of interleukin-10 signaling and infantile inflammatory bowel disease: implications for diagnosis and therapy. Gastroenterology. 2012;143:347-55.
4. Shah N, et al. Interleukin-10 and interleukin-10-receptor defects in inflammatory bowel disease. Current allergy and asthma reports. 2012;12:373-9.
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会
概念(IL36RN欠損症)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
IL36RN欠損症は、臨床的には急激な発熱とともに全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱が多発する汎発性膿疱性乾癬と診断される疾患で、そのうちの一部の患者にIL-36受容体アンタゴニスト遺伝子異常が同定された。常染色体劣性遺伝形式である。
病因
IL-36関連蛋白として、IL-36α、IL-36β、IL-36γが主として皮膚ケラチノサイトから分泌され、その拮抗物質であるIL-36受容体アンタゴニストの異常により、IL−36受容体であるIL-1RL2・IL-1RAcPを介して、皮膚の炎症・全身性炎症が引き起こされる。
疫学
本邦での患者数は現時点では不明である。
症状
汎発性膿疱性乾癬の臨床所見を呈する。急激に発症する発作を繰り返す。びまん性の紅斑に無菌性膿疱を合併する。さらに全身所見としては、高熱、倦怠感を伴う。16人中12人は小児期に発症している。発作の頻度は各人により様々であり、その誘因として、ウイルスもしくは細菌感染症、レチノイド治療の中止、月経、妊娠が報告されている。4人の成人発症者のうち、2人は妊娠中に発症した。汎発性膿疱性乾癬症例を集積した研究で、IL36RN変異を有する症例は変異を持たない症例と比べ、より発症が早く(17±2.4歳vs 33±1.5歳)、より全身炎症の合併のリスクが高く、尋常性乾癬の合併が少ないことが報告された。
合併症
高頻度の敗血症による死亡が報告されている。
診断
特徴的な所見より臨床的に同疾患を疑い、遺伝子検査で確定する。
治療法
特異的な治療はまだ開発されていない。大多数の症例では、汎発性膿疱乾癬に対する治療が有効である。副腎皮質ホルモン軟膏塗布、活性化VitD3軟膏塗布、シクロスポリン全身投与、エトレチナート全身投与、メソトレキサート全身投与、副腎皮質ホルモン全身投与、PUVA療法、ナローバンドUVB、抗TNF-α製剤等の生物学的製剤、顆粒球吸着療法がなされている。近年IL-1レセプターアンタゴニスト製剤であるアナキンラの有効性が報告されている。
予後
合併症である敗血症の治療が重要となる。
文献
- Marrakchi S, et al. Interleukin-36-receptor antagonist deficiency and generalized pustular psoriasis. The New England journal of medicine. 2011;365(7):620-8.
- Onoufriadis A, et al. Mutations in IL36RN/IL1F5 are associated with the severe episodic inflammatory skin disease known as generalized pustular psoriasis. American journal of human genetics. 2011;89(3):432-7.
- Sugiura K. The genetic background of generalized pustular psoriasis: IL36RN mutations and CARD14 gain-of-function variants. Journal of dermatological science. 2014;74(3):187-92.
- Hussain S, et al. IL36RN mutations define a severe autoinflammatory phenotype of generalized pustular psoriasis. The Journal of allergy and clinical immunology. 2014.
- Rossi-Semerano L, et al. First clinical description of an infant with interleukin-36-receptor antagonist deficiency successfully treated with anakinra. Pediatrics. 2013;132(4):e1043-7.
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2015年3月31日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会
概念(Majeed症候群)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
Majeed症候群は、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO:chronic recurrent multifocal osteomyelitis)に先天性赤血球異形成貧血(CDA:congenital dyserythropoietic anemia)および皮疹(Sweet症候群または膿疱症)を合併する症候群であり、新生児・乳児期に発症することが特徴である。
病因
18番染色体短腕(18p11.31)に位置するLPIN2遺伝子の変異による常染色体劣性遺伝疾患である。
疫学
極めてまれな疾患であり、世界での報告例は中東から数家系が認められるのみで、本邦での報告はない。
症状
慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)、先天性赤血球異形成貧血(CDA)および皮疹(Sweet症候群または膿疱症)の三徴を呈する。新生児期や乳児期といった低年齢で発症し、寛解は短く、症状は重篤である。持続する炎症によりしばしば成長障害、関節の拘縮を伴う。貧血については小球性貧血をきたすことが特徴である。
合併症
持続する炎症に伴う成長障害や、反復する関節炎による関節の拘縮が問題となることがある。
診断
①各疾患にみられる特徴的な症状を認める。
②疾患関連遺伝子変異が同定される。
以上の2項目を満たす症例をその他の自己炎症性疾患と診断する。
【Majeed症候群】
特徴的な所見より臨床的に同疾患を疑い、遺伝子検査で確定する。
治療法
CRMOは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:Non-steroidal anti-inflamatory drugs)と理学療法により筋肉の廃用性萎縮と拘縮を防ぐ。NSAIDsに反応が見られない場合には副腎皮質ステロイド薬が短期間用いられることもある。近年ではIL-1受容体拮抗薬のアナキンラが著効している症例があるとの報告がある。CDAは輸血によって治療されるが貧血が著しい場合には繰り返し輸血が必要となる。
予後
長期予後についてはまだ明らかではない。
参考文献
1. Al-Mosawi ZS,et al A splice site mutation confirms the role of LPIN2 in Majeed syndrome. Arthritis and rheumatism 2007;56:960-4.
2. Ferguson PJ, et al Homozygous mutations in LPIN2 are responsible for the syndrome of chronic recurrent multifocal osteomyelitis and congenital dyserythropoietic anaemia (Majeed syndrome). Journal of medical genetics 2005;42:551-7.
3. Majeed HA, et al Congenital dyserythropoietic anemia and chronic recurrent multifocal osteomyelitis in three related children and the association with Sweet syndrome in two siblings. The Journal of pediatrics 1989;115:730-4.
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会
概念(NLRP-12関連周期性症候群)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
NLRP-12関連周期性症候群は、クリオピリン関連周期熱症候群(cryopyrin-associated periodic syndrome:CAPS)と同様の症状を呈するにも関わらずNLRP3、MEFV、TNFRSF1A、MVK遺伝子異常が認められない症例に、2008年NLRP12遺伝子にヘテロ変異が同定された。家族性寒冷自己炎症症候群2型(familial cold autoinflammatory syndrome:FCAS2)、あるいはNAPS12(NLRP12-associated periodic syndrome)と呼ばれている。
病因
原因遺伝子はNLRP12のヘテロ変異であり、常染色体優性遺伝形式をとる。NLRP12の変異によって、炎症の亢進および抑制の両方に関わるNF-κBの作用に障害が起こることが推定されている。NLRP12の変異には、ナンセンス変異、ミスセンス変異、スプライス異常が報告されているが、変異の種類によってさまざまな表現型をとる可能性が示唆され、病因については完全に明らかにされていない。
疫学
報告例は少なく、本邦での患者数は不明である。
症状
寒冷刺激で生じる周期性発熱(1か月に1~2回程度、数時間~15日間続く、40℃前後の高熱)が生後初日から2歳6か月の間に発症する。随伴症状としては、腹痛、筋痛、関節痛、リンパ節腫脹、紅斑、蕁麻疹、感音性難聴、頭痛、口腔内アフタが報告されている。NLRP3異常によるMuckle-Wells症候群とFCASの中間の重症度を呈するとされている。
合併症
症例数が少なく、現時点では不明である。
診断
①各疾患にみられる特徴的な症状を認める。
②疾患関連遺伝子変異が同定される。
以上の2項目を満たす症例をその他の自己炎症性疾患と診断する。
【NLRP-12関連周期性症候群】
特徴的な所見より臨床的に同疾患を疑い、遺伝子検査で確定する。
治療法
寒冷刺激(エアコン、低温室や冬期など)が増悪因子となるためできるだけ避ける。随伴症状に対しては、対症療法として非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)や低用量のステロイド、抗ヒスタミン薬が使用されており、ある程度の予防効果があったとされている。コルヒチンは無効であることがわかっている。アナキンラは、症状改善が一時的にはみられるが、TNFα高値を伴う再燃が認められるようになり投与が中止された。
予後
報告されている症例数は少なく、不明である。
参考文献
1. Borghini S, et al. Clinical presentation and pathogenesis of cold-induced autoinflammatory disease in a family with recurrence of an NLRP12 mutation.Arthritis and rheumatism.2011;63:830-839.
2. Jeru I, et al. Mutations in NALP12 cause hereditary periodic fever syndromes.Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 2008;105:1614-1619.
3. Jeru I, et al. Role of interleukin-1beta in NLRP12-associated autoinflammatory disorders and resistance to anti-interleukin-1 therapy.Arthritis and rheumatism. 2011;63:2142-2148.
4. Jeru I, et al. Identification and functional consequences of a recurrent NLRP12 missense mutation in periodic fever syndromes.Arthritis and rheumatism. 2011;63:1459-1464.
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会
概念(フォスフォリパーゼCγ2関連抗体欠損免疫異常症)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
フォスフォリパーゼCγ2関連抗体欠損免疫異常症は、寒冷誘発蕁麻疹を主症状として、低ガンマグロブリン血症、易感染性、自己免疫疾患・アレルギー疾患を合併する遺伝性疾患。常染色体優性遺伝形式である。Phospholipase Cg2(PLCG2)遺伝子の異常症である。
病因
PLCG2遺伝子において恒常的活性化を抑制するC末SH2領域を欠損する事が原因とされている。しかし機能的には、B細胞はIgM架橋によるCa2+の流入の低下など機能低下を認め、その効果はドミナントネガティブに働く。NK細胞でも同様の機能低下を認めるが、T細胞は異常を認めない。寒冷刺激により患者B細胞のCa2+濃度は上昇し、また変異PLCG2を肥満細胞に導入すると寒冷刺激により自然に脱顆粒した。即ち、37度では変異PLCG2は外的な刺激に対して低反応であるが、低温でその応答性が亢進し、寒冷誘発蕁麻疹の原因と考えられる肥満細胞の脱顆粒が起こることが推測されている。
疫学
非常に稀な疾患であり、現時点では本邦での報告はまだない。全世界でもこれまでに数例程度の報告しかない。
臨床症状
寒冷誘発蕁麻疹は乳幼児期から発症し、一生持続する。冷たい風に当たることで蕁麻疹を発症する。Ice cubeテストは陰性であるが、揮発性冷却により陽性を示すのが特徴である。75%の患者に抗体産生異常を認め、56%に易感染性を認めた。11%に低ガンマグロブリン血症を認めCVIDと診断されていた。自己抗体もしくは自己免疫疾の合併を56%に認め、26%に肉芽腫病変を合併した。
診断
①各疾患にみられる特徴的な症状を認める。
②疾患関連遺伝子変異が同定される。
以上の2項目を満たす症例をその他の自己炎症性疾患と診断する。
【フォスフォリパーゼCγ2関連抗体欠損免疫異常症】
寒冷誘発蕁麻疹で、NLRP3、NLRP12に異常がない症例で、本疾患を疑い、遺伝子検査で確定する。抗体産生異常、易感染性、自己免疫疾患の合併が参考になる。
治療
現在のところ、疾患特異的な治療は報告されていない。低ガンマグロブリン血症にはガンマグロブリン補充療法を考慮する。
予後
現在の所、不明である。
文献
1) Ombrello, M.J.,et al. Cold urticaria, immunodeficiency, and autoimmunity related to PLCG2 deletions.The New England journal of medicine 2012 366:330-338.
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- :バージョン1.0
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- :2014年10月1日
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- :日本小児リウマチ学会
概念(RBCK1欠損症)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
RBCK1欠損症は、繰り返す細菌感染症、継続する炎症病態、筋・心筋・肝臓に直鎖上のグリコーゲンが蓄積するアミロペクチノーシスを合併する常染色体劣性遺伝形式の疾患である。アミロペクチノーシスのため、心筋障害、筋障害をきたす。NF-kB活性化に関わる、LUBAC(linear ubiquitin chain assembly)の一構成分子であるRBCK1遺伝子の機能喪失により発症する。
病因
これまでRBCK1欠損症として、アミロペクチノーシスを認めた症例が15症例報告されている。3症例が免疫不全症、自己炎症様病態を示した。免疫学的な解析がされたのはその3症例のみである。不死化した繊維芽細胞、EBV変異B細胞株では、いずれもTNF-a、IL-1bに対する NF-kBの活性化の低下が見られ、特にIL-1bに対する反応性低下が著明で、LUBAC形成の欠失が確認された。一方患者末梢血では、炎症性サイトカインIL-6等の亢進がみられ、単球からの産生過剰が推測された。また患者末梢血のサイトカインプロファイルでも、炎症性サイトカイン産生の亢進が見られた。細菌に対する易感染性はNF-kB活性化障害を示すNEMO異常症と同様に、病原体に対する炎症における不応性ということで説明可能であるが、自己炎症様病態が如何に発症しているかは不明である。
疫学
非常に稀な疾患であり、現時点では本邦での報告はまだない。全世界でもこれまでに10-20例程度の報告しかない。
臨床症状
RBCK1欠損症として、アミロペクチノーシスによる、筋障害、心筋障害を合併し、心不全を来す。また全例ではないが、免疫不全症の症状として、繰り返す細菌感染症、一例ではCMV慢性感染症を合併し、自己炎症病態として、特に感染症後に持続する発熱を来たす。同症状をコントロールするためには、副腎皮質ホルモンの高用量投与が必要であった。また発育不全を合併した。
診断
①各疾患にみられる特徴的な症状を認める。
②疾患関連遺伝子変異が同定される。
以上の2項目を満たす症例をその他の自己炎症性疾患と診断する。
【RBCK1欠損症】
典型的な臨床所見、とくに易感染性、自己炎症病態、及び筋所見を見た場合、同疾患を疑いRBCK1遺伝子検査で診断する。
治療
易感染性、自己炎症病態は幹細胞移植にて改善するが、筋障害、心筋障害は進行する。
自己炎症病態に対して、高用量副腎皮質ホルモンが有効であり、抗TNF-α製剤が有効な症例も存在する。
予後
易感染性、自己炎症病態を呈した重症例は、幹細胞移植無しでは予後不良である。また幹細胞移植が成功した症例でも、心筋障害の進行により予後不良である。易感染性を示さない比較的軽症例でも心筋障害が予後を規定する。
文献
1) Boisson, B.,et al. Immunodeficiency, autoinflammation and amylopectinosis in humans with inherited HOIL-1 and LUBAC deficiency.Nature immunology 2012 13:1178-1186.
2) Tokunaga, F.et al. a novel ubiquitin ligase for linear ubiquitination, is crucial for inflammation and immune responses.Microbes and infection / Institut Pasteur 2012 14:563-572.
3) Wang, K.,et al. Whole-genome DNA/RNA sequencing identifies truncating mutations in RBCK1 in a novel Mendelian disease with neuromuscular and cardiac involvement.Genome medicine 2013 5:67.
4) Nilsson, J.,et al. Polyglucosan body myopathy caused by defective ubiquitin ligase RBCK1.Annals of neurology 2013.
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- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会
概要(SLC29A3異常症)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
SLC29A3異常症は、SLC29A3遺伝子の変異により発症する自己炎症性疾患である。アラブ家系を中心に、SLC29A3変異が原因で、頭文字がHで始まる、色素過剰症 (Hyperpigmentation), 多毛症 (Hypertrichosis), 肝脾腫 (Hepatosplenomegaly), 心奇形 (Heart anomalies), 難聴 (Hearing loss), 性腺機能低下症 (Hypogonadism), 低身長 (low Height), 高血糖 (Hyperglycemia)といった症状を呈するH症候群が報告されていた。その後、自己炎症症状を有し、H症候群と共通の皮膚症状を呈した小児でSLC29A3変異が同定され、この遺伝子変異も自己炎症性疾患の原因となることが明らかになった。
疫学
これまで本邦報告例はない。既報告はアラブ家系に多い。
原因
SLC29A3遺伝子変異により発症する、常染色体劣性遺伝の疾患である。この遺伝子がコードするのはequilibrative nucleoside transporter 3 (ENT3)というタンパクです。このタンパクはヌクレオシドの取り込みに関与することまで明らかになっていますが、疾患発症とのつながりは明らかになっていません。
症状
自己炎症症状を伴う報告例では、乳児期より7-10日間の発熱があり、有熱期に腹痛、下痢を伴う。H症候群と共通する症状として、色素過剰症 (Hyperpigmentation), 多毛症 (Hypertrichosis), 肝脾腫 (Hepatosplenomegaly), 難聴 (Hearing loss) を認める。乳児期より繰り返す発熱に加え、色素過剰症、多毛症を伴う場合に、SLC29A3変異を検索することで診断に至る。
診断
①各疾患にみられる特徴的な症状を認める。
②疾患関連遺伝子変異が同定される。
以上の2項目を満たす症例をその他の自己炎症性疾患と診断する。
【SLC29A3異常症】
特徴的な所見より臨床的に同疾患を疑い、遺伝子検査で確定する。
治療法
まだ確立されていない。既報告ではNSAIDsが発作頻度の減少に有効であった一方、コルヒチンやIL-1、TNFaに対する生物学的製剤は無効だったとされている。
参考文献
1. Molho-Pessach V. The H syndrome is cause by mutations in the nucleoside transporter hENT3. Am J Hum Genet 2008;83:529-34
2. Melki I. Mutation in theSLC29A3 gene: a new cause of a monogenic, autoinflammatory condition. Pediatrics 2013;131:e1308-e1313
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- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会
概要(A20ハプロ不全症)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
TNFAIP3遺伝子によりコードされる分子A20は、tumor necrosis factor (TNF) – nuclear factor (NF)-κB経路を抑制的に調節する分子である。2015年12月にTNFAIP3遺伝子のハプロ不全変異によって生じ、常染色体優性遺伝形式で若年発症するベーチェット病様の疾患としてA20ハプロ不全症(HA20)が報告された。
A20にはN末端領域のovarian tumor (OTU)ドメインとC末端領域に7つのzinc finger(ZF)ドメインがあり、それぞれTNF-αシグナル伝達経路においてRIP1のK63ポリユビキチン鎖を脱ユビキチン化する作用と、4番目のZFがreceptor interacting protein kinase 1 (RIP1)にK48ポチユビキチン鎖を付加することで、プロテアーゼにより分解する作用を持つ。また、7番目のZFが直鎖状ユビキチン鎖と結合することで、リガンド刺激により多量体を形成しようとするTNF受容体複合体と、そこに会合するlinear ubiquitin chain assembly complex (LUBAC)やinhibitor of NF-κB kinase (IKK)複合体などのNF-κB活性化分子の解離を促進する。この3つの作用によって、TNF - NF-κB経路に対して抑制的に働くことになる。
HA20患者では、A20のハプロ不全によって、シグナル伝達抑制効果が減弱することが主要な要因となり、炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-6、IL-1β等が過剰産生され、全身性の炎症病態(すなわち自己炎症性疾患)を生じると考えられている。
病因
TNFAIP3遺伝子がコードするA20の機能減損変異により常染色体優性遺伝形式で発症する。A20はTNF-αやIL-1βなどの細胞内シグナル伝達経路上に存在し、このシグナル伝達を抑制的に制御している分子である。
A20異常症においてはTNFAIP3遺伝子のヘテロ接合性変異によりA20の半量不全が生じ、TNF-αやIL-1βなどのシグナル伝達の制御異常が起こり、種々の炎症性サイトカインが過剰産生され自己炎症性疾患が惹起される。
疫学
国内で現在までに約30症例が確認されている。
臨床症状
新生児期から29歳までの比較的若年期に発症する。周期性発熱あるいは遷延性の発熱、反復性口腔内アフタ、皮疹、関節痛に加え、外陰部潰瘍、消化管潰瘍、ぶどう膜炎といったベーチェット病様の症状を呈する。重症度は症例に異なり、橋本病や全身性エリテマトーデス、自己免疫性肝炎、Ⅰ型糖尿病などの自己免疫疾患の併発がみられることもある。
検査所見
症状が全身性に顕在化している場合、白血球数、CRP、血清アミロイドA、血沈などの炎症反応が上昇する。症状が口内炎のみ等軽微な場合、血液検査による炎症反応の上昇はみられないこともある。
腸管ベーチェット病様症状の確認のため、便潜血検査、消化管内視鏡検査、PET-CT検査などが有用である。
髄液中のIL-6が高値となることがある。
ベーチェット病同様に針反応試験が陽性となることがある。
遺伝学検査として、TNFAIP3遺伝子に疾患関連変異を認める。
診断の際の留意点
遺伝学検査として、TNFAIP3遺伝子に疾患関連変異を認めることが絶対条件である。
それに加え、なんらかの臨床症状を伴うものがA20ハプロ不全症の疑い例、あるいは確実例と診断できる。遺伝子変異が同定されても、臨床症状を伴わない場合は診断としない。
治療
保険診療内で行える治療:
副腎皮質ステロイド全身投与、コルヒチン、抗TNF-α製剤(レミケード、ヒュミラ)などの使用が報告されているが、有効性は確立していない。
保険診療内が認められていないもの:
海外では、一部の症例で抗IL-1製剤の有効性が報告されている。
合併症
自己免疫疾患(自己免疫性甲状腺炎、Ⅰ型糖尿病、自己免疫性肝炎、ループス腎炎、IgA血管炎など)、ネフローゼ症候群の合併が報告されている。
長期的に炎症反応(特に血清アミロイドA)が持続高値を示す場合、理論上、腎アミロイドーシス等の二次性アミロイドーシスへの進展が否定できない。
予後
生涯にわたる全身炎症のために患者の生活の質は阻害される。生命予後は良好とされているが、消化管出血により致死的経過を辿った症例がある。疾患概念が確立してから日が浅く報告数も少ないため、長期的な予後に関してはまだ不明な部分が多い。
成人期以降の注意点
ベーチェット病様症状が加齢と共に徐々に顕在化することがあるので、眼科診察、検便(便鮮血)等は定期的に行う方がよい。
また、本疾患で自己免疫疾患発症のリスクが指摘されており、甲状腺機能異常、耐糖能異常の出現などにも留意する必要がある。
疾患原因から悪性リンパ腫等の発生頻度の上昇が懸念されるが、データ集積が乏しいため不明である。
参考文献
- Zhou Q, Wang H, Schwartz DM et al. Loss-of-function mutations in TNFAIP3 leading to A20 haploinsufficiency cause an early-onset autoinflammatory disease. Nat Genet. 2016 Jan;48(1):67-73.
- Kadowaki T, Ohnishi H, Kawamoto N et al. Haploinsufficiency of A20 causes autoinflammatory and autoimmune disorders. J Allergy Clin Immunol. 2018 Apr;141(4):1485-1488.e11.
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2018年4月1日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会
概要(NLRC4異常症)
家族性地中海熱、クリオピリン関連周期熱症候群、TNF受容体関連周期性症候群、Blau症候群・若年発症サルコイドーシス、中條-西村症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群、慢性再発性多発性骨髄炎、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症、を除く自己炎症性疾患の中で、メンデル遺伝性疾患を対象とする。
NAPS12, DADA2, IL10欠損症, IL-10RA欠損症, IL-10RB欠損症, IL36RN欠損症, Majeed症候群, CARD14欠損症, PLCG2異常症, RBCK1欠損症, Cherubism, SLC29A3異常症等が知られている。
NLRC4異常症は、NLRC4の遺伝子変異により常染色体優性遺伝の遺伝形式で発症する炎症を主病態とする疾患である。
多くは孤発例として報告され、体細胞モザイクの症例もみられる。NLRC4異常症ではIL-1βとIL-18が過剰産生され、発熱、寒冷蕁麻疹、関節痛、乳児期発症腸炎、マクロファージ活性化症候群様症状など幅広い症状を呈する。
病因
NLRC4異常症はNLRC4分子の機能獲得変異により発症する。NLRC4は自然免疫に関わるインフラマソームの構成分子であるが、その機能獲得型変異によりカスパーゼ-1の恒常活性化が起こり、IL-1βとIL-18が過剰産生され炎症が惹起される。
疫学
これまで本邦では3家系で報告されている。推定患者数は100名未満と推定される。
臨床症状
NLRC4異常症では、長期にわたって継続する周期熱、寒冷蕁麻疹、関節痛、乳児期発症腸炎、脾腫・血球減少・凝固障害といったマクロファージ活性化症候群様症状など、多彩な臨床症状を呈する。
乳児期発症腸炎は難治性下痢として発症する。中心静脈栄養を要する症例も存在するが、1歳を超えると自然軽快する傾向を有する。
マクロファージ活性化症候群を合併する症例では、血球減少、高フェリチン血症、凝固異常を示し、致死的な経過を示す場合が存在する。
その他、寒冷で誘発される蕁麻疹、発熱を示し、クリオピリン関連周期熱症候群の軽症型と類似した臨床症状を示す症例が存在する。
一方、難聴、無菌性髄膜炎など、重症型クリオピリン関連周期熱症候群様症状を示す症例が報告されている。
検査所見
白血球数の上昇、CRP高値、赤沈の亢進など炎症所見を認める。
マクロファージ活性化症候群合併例では、血小板減少、白血球減少、貧血の各血球の減少、高フェリチン血症、凝固異常が認められる。
血清中総IL-18は 104 pg/mL 以上の著明高値を示す事が多い。
治療
症例数が少なく、標準的な治療はまだ未確立である。
症例報告レベルで、寒冷蕁麻疹等の皮膚症状はNSAIDsの投与が有効で、本邦未承認薬であるアナキンラ(IL-1受容体拮抗薬)の有効性が知られている。
マクロファージ活性化症候群は治療抵抗性で、コルチコステロイド、シクロスポリンA、ガンマグロブリン投与が有効であった症例が報告されている。
抗IL-1製剤等が投与されたが病勢を制御できず、IL-18結合蛋白の投与にて救命された一例が報告されている。
その他、抗IFN-γ抗体が有効であった症例の報告が存在する。
乳児期発症腸炎における腸内細菌叢の関与が推定されているが、治療法はまだ未確立で、一部の症例では中心静脈栄養を要する。
合併症
マクロファージ活性化症候群、乳児期発症腸炎、寒冷誘発蕁麻疹、無菌性髄膜炎、難聴
予後
NLRC4異常症では、乳児期発症腸炎に加え、繰り返すマクロファージ活性化症候群を合併し、生命の危険を伴う。
成人期以降の注意点
成人例は存在するものの、責任遺伝子の報告や疾患概念の確立から間がなく、長期的な予後には不明な部分が存在する。アミロイドーシスについてもデータ集積が無いため不明である。
参考文献
- Duncan, J.A. and S.W. Canna, The NLRC4 Inflammasome. Immunol Rev 281:115-123, 2018.
- Volker-Touw, C.M., H.D. de Koning, J.C. Giltay, et al., Erythematous nodes, urticarial rash and arthralgias in a large pedigree with NLRC4-related autoinflammatory disease, expansion of the phenotype. Br J Dermatol 176:244-248, 2017.
- Romberg, N., T.P. Vogel, and S.W. Canna, NLRC4 inflammasomopathies. Curr Opin Allergy Clin Immunol 17:398-404, 2017.
- Liang, J., D.N. Alfano, J.E. Squires, et al., Novel NLRC4 Mutation Causes a Syndrome of Perinatal Autoinflammation With Hemophagocytic Lymphohistiocytosis, Hepatosplenomegaly, Fetal Thrombotic Vasculopathy, and Congenital Anemia and Ascites. Pediatr Dev Pathol 20:498-505, 2017.
- Kawasaki, Y., H. Oda, J. Ito, et al., Identification of a High-Frequency Somatic NLRC4 Mutation as a Cause of Autoinflammation by Pluripotent Cell-Based Phenotype Dissection. Arthritis Rheumatol 69:447-459, 2017.
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- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2018年4月1日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会