概念・定義
1997年に報告された、常染色体優性遺伝形式をとる稀な自己炎症性疾患であり、無菌性化膿性関節炎を臨床像の主体とし、壊疽性膿皮症と囊腫性座瘡を伴う事を特徴とする。
病因
15q24に位置するPSTPIP1遺伝子の変異が原因である事が報告されていますが、詳細な発症機構については解明されていない。PSTPIP1はパイリンに結合する蛋白であり、変異によりこの結合が亢進する事が知られている為、結合亢進により結果的にパイリンの抗炎症作用が減弱する事が原因ではないかと考えられている。
疫学
本邦で2例の確定例があり、数名の潜在患者がいると推定される
症状
多くの場合3歳以下に化膿性無菌性関節炎として発症し、思春期以降に壊疽性膿皮症様病変、嚢腫性ざ瘡(膿疱が目立ちしこりを形成するざ瘡)を呈する様になる。通常周期性発熱は認めない。関節炎は幼少期より発症し再発性であるが、思春期に近づく頃より皮膚症状が前面に出る様になり、10歳前後より無菌性の壊疽性膿皮症が下肢を中心に認められるようになる。この病変は再発性で次第に潰瘍性変化が強くなる傾向がある。炎症性の紅色丘疹、膿疱、結節ではじまり、その後潰瘍化して拡大し潰瘍底は壊死を起こす。しばしば蜂巣状または篩状の瘢痕を生じる。思春期以降には囊腫性座瘡を繰り返す様になる。その他、注射部位の膿瘍形成が認められる。
診断
治療
主に副腎皮質ステロイド剤が用いられるが、長期的な使用による副作用の発現が問題となる。抗IL-1製剤や抗TNF製剤の有効例も報告されている。
予後
生命予後は比較的良好であるが、長期的には繰り返す関節炎による関節破壊・拘縮と、皮膚病変による瘢痕形成が問題となる。又、溶血性貧血、血小板減少などの血液疾患や、炎症性腸疾患、ブドウ膜炎などの炎症疾患、その他、糸球体腎炎、糖尿病など、様々な慢性疾患の合併が報告されている。
- 版
- :バージョン1.1
- 更新日
- :2015年3月31日
- 文責
- :日本小児リウマチ学会