概念•定義
ビタミンD依存性くる病は、遺伝性にビタミンD抵抗性くる病(骨軟化症)をきたす疾患で、生理量のビタミンDではその作用が不足する病態である。通常生後数カ月以内に、くる病所見や、低カルシウム血症によるテタニーやけいれんで発症する。腎臓の25位水酸化ビタミンD 1α位水酸化酵素遺伝子(CYP27B1)の不活性型変異によりビタミンD活性化が障害されるビタミンD依存症I型(Vitamin D-dependent rickets, type 1:VDDR I)と,ビタミンD受容体遺伝子(VDR)の不活性型変異によりビタミンDの作用が障害されるビタミンD依存症II型((Vitamin D-dependent rickets, type II:VDDR II)に分類される。
疫学
いずれも非常に稀。国内では、併せて数十名ほどの報告がある
病因
ビタミンD依存症I型:25位水酸化ビタミンD 1α位水酸化酵素遺伝子の異常 ビタミンD依存症II型:ビタミンD受容体遺伝子の異常
症状
通常生後数カ月以内に、くる病所見や、低カルシウム血症によるテタニーやけいれんで発症する。その他、低リン血症、高ALP血症、高PTH血症を呈する。血中1,25(OH)2Dの濃度は、I型では低値で、II型では高値となる。II型では禿頭を伴う事が多い
治療
ビタミンD依存症I型 生理量のビタミンD投与に抵抗する(3,000〜4,000単位ビタミンDの 4週間の治療に反応しない)のに対し、活性型ビタミンDを治療に用いれば通常量で治癒させうる。アルファカルシドールで初期量約0.1μg/kg/日、維持量0.05 μg/kg/日程度投与すると、早期に血清カルシウム値は増加し、2-3か月でくる病の骨所見の改善がみられる。 ビタミンD依存症II型 治療の基本は活性型ビタミンDの大量投与であるが,VDRの活性低下の程度には症例毎に差があるため、その必要量はさまざまである。持続する低カルシウム血症に対しては,カルシウムを点滴で十分に投与する必要がある。経過中に自然寛解がみられる場合がある
予後
適切な治療の継続は必要であるが、予後は良好である。しかし、骨変形、低身長、禿頭などが持続する
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児内分泌学会