概念・定義
病因
膵、消化管、交感神経節、副腎などに発生するVIP産生腫瘍による
疫学
小児期には極めてまれである
臨床症状
大量の水様下痢とそれに伴う低カリウム血症、低クロール血症、代謝性アシドーシスなどを呈する(WDHA 症候群(watery diarrhea-hypokalemia-achlorhydria syndrome)。さらに、低カリウム血症や脱水による易疲労感、筋力低下、筋硬直、吐き気・嘔吐、皮膚潮紅、高血糖、高カルシウム血症などを呈する。VIP産生腫瘍の下痢は分泌性で成人では一日700 mL以上であり、絶食状態でも生じるのが特徴である。腹痛は軽度であるとされる。原発腫瘍は、成人では膵尾部に 3cm 以上の腫瘍として見つかることが多いが、消化管にも発生する。小児では 2-4 歳に多く、交感神経節や副腎に発生することが多い。40-80%は悪性である
診断
血漿 VIP 濃度測定が有用である(保険未収載)。鑑別診断に便の osmotic gap の測定が有用である。MEN1 の合併の有無を診断するために、補正血清カルシウム濃度測定とインタクト PTH 測定が有用である。局在診断のため、US、CT、MRI、EUS 検査が有用である
治療
VIP 産生腫瘍と診断された場合、切除術が推奨される 。手術が腫瘍減量手術にとどまった場合は、ソマトスタチンアナログ製剤などによる追加治療が推奨される。急激な下痢による脱水症状に対して、電解質液の大量の補液が推奨される
予後
リンパ節転移や肝転移などの遠隔転移が最大の予後因子である
参考
膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET) 診療ガイドライン 膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン作成委員会
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児内分泌学会