概念・定義
性分化疾患(DSD)の分類のうち染色体の核型が46,XYのものの中で、5α-還元酵素欠損症、アンドロゲン不応症、17β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素欠損症、先天性副腎過形成症(リポイド副腎過形成症、3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素欠損症、17α-水酸化酵素欠損症、P450酸化還元酵素欠損症)を除外した疾患が含まれる。
病因
多くは遺伝的素因に基づく先天異常であるが、必ずしも単一遺伝子異常が同定されるとは限らず、環境因子などを含め原因不明のものが多い。未分化性腺の発生異常、未分化性腺から胎児精巣への分化異常、内性器の形成異常、外性器の形成異常のいずれにおいても生じうる。
臨床症状
小陰茎、尿道下裂、二分陰嚢などといった男性外陰部の異常(女性化)をさまざまな程度で認め、合併することもある。
診断
通常は外陰部の異常により発見されるが、必ずしも外陰部異常で気付かれるとは限らない。診断の手引きを参照すること。染色体G bandの検査は必須である。内分泌機能検査として尿中ステロイドプロファイルなどが有用かつ必要な場合がある。その他、超音波検査やMRIなどの画像検査、腹腔鏡検査、性腺生検なども重要である。
遺伝子診断が有用な場合もあるが、単一遺伝子異常(WT1、NR5A1(SF-1)、SRY、SOX9、DHH、ATRX、ARX、DMRT1、NR0B1(DAX1)、WNT4、LHGCR、DHCR7など)が同定されるとは限らず、原因不明のことが多い。
また、46,XY DSDの一部には除外項目に示すような副腎皮質ホルモン分泌不全を伴う疾患が存在するため、生命予後の観点からは副腎不全合併の有無についての見極めが極めて重要である。
治療
外科的治療が必要となる場合には、基本的に選択された性に不一致な構造物を除き、外性器形成術を行う。
内科的治療として、男児として養育する場合にはテストステロン投与を行うことがある。一方、女児として養育する場合には思春期年齢以降にエストロゲン投与を行う。
予後
思春期以降のホルモン分泌が不十分となることが多く、二次性徴の進展も不十分に終わるため、思春期年齢以降は適切な性ホルモン補充が必要となる。他方、生殖能力に関しての評価も必要となることがある。
性腺腫瘍の発生は高率になるとされ、性腺摘出が必要となる場合が多いが、具体的な実施時期についてはいまだ統一した見解に至っていない。
一般的にXY DSDの生命予後は良好とされる。性同一性障害やQOLに関しては不明な点が多く、長期予後に関しては圧倒的に情報不足の状態である。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児内分泌学会