概念・定義
Liddle症候群は1993年にLiddleにより最初に報告された。若年性高血圧、低カリウム血症、代謝性アルカローシスなど原発性アルドステロン症類似の臨床症状を示すが、血漿レニン活性、血漿アルドステロン濃度は低値を示す常染色体優性の食塩感受性高血圧症である。
病因
本症候群は腎皮質集合管尿細管の管腔側膜に局在するアミロライド感受性上皮ナトリウムチャンネルの遺伝子異常であること明らかにされた。本チャネルは3個のサブユニットからなるが(α、β、γ)のうちβあるいはγの遺伝子変異によって起こる。これらの変異により、膜表面上のチャネル数が増加し、ナトリウムの再吸収が増加するため、食塩感受性高血圧が発症する。
頻度
正確な頻度は不明である。
症状と診断
頭痛、嘔吐などの重度の高血圧の症状、思春期以降にしびれ、筋力低下、四肢麻痺、多飲・多尿などの低カリウム血症による症状で気づかれることが多い。高血圧は10歳代に発症することが多い。検査所見としては、血清ナトリウムは正常、ないしやや高値、血清カリウムの低下、代謝性アルカローシス、血漿アルドステロン低値、血漿レニン活性または血漿レニン濃度の低値を示す。SCNN1BまたはSCNN1G遺伝子の異常を認める。
治療
アミロライド感受性上皮ナトリウムチャネルの機能を阻害するトリアムテレンとアミロライド[我が国では未発売]が有効である。同時に厳格な食塩制限も行う。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児内分泌学会