概念
分類と病因
副腎の発生・分化に関わる転写因子の異常により副腎欠損を呈するDAX-1やSF-1遺伝子異常による先天性副腎低形成症、DAX-1遺伝子を含む大きな遺伝子欠失のために近傍のデユシャンヌ型筋ジストロフィー遺伝子やグリセロールキナーゼの欠損を伴う隣接遺伝子症候群によるもの、IMAge症候群(子宮内発育不全、骨幹端異形成、停留精巣・小陰茎などの外陰部異常、副腎低形成)がある
疫学
先天性副腎低形成症は、約12.500出生に一人とされている
症状
・X連鎖性(DAX-1異常症) 嘔吐、哺乳不良、色素沈着、低血圧、ショック症状などで発症する。発症時期は主に新生児期~乳幼児期であるが、成人になってから発症する例がある。思春期年齢になっても二次性徴の発達がみられない(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を合併する)。また精巣での精子形成は障害される。 ・ 常染色体性(SF-1異常症) 副腎不全を呈する例は稀で、主に性腺形成不全による症状、XY女性と二次性徴発達不全を呈する。 ・ IMAge症候群 子宮内発育不全、骨幹端異形成症、外性器異常(小陰茎、停留精巣)と副腎低形成を合併する。CDKN1C遺伝子の機能獲得型変異によって発症する
治療
急性副腎不全の発症時には、グルココルチコイドとミネラルコルチコイドの速やかな補充と、水分・塩分・糖分の補給が必要であり、 治療が遅れれば生命にかかわる。その後も生涯にわたりグルココルチコイドとミネラルコルチコイドの補充が必要である。新生児期・乳児期には食塩の補充も必要となる。 急性期の治療の後も、発熱などのストレスにさらされた際には副腎不全を起こして重篤な状態に陥ることがあるため、ストレス時にはグルココルチコイドの内服量を通常の2~3倍服用する。適切な治療が行われれば予後は比較的良好である。DAX1異常による低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に対しては、hCG-HMG療法ある いはテストステロン療法が必要となる。これらの治療により二次性徴は順調に進行するが、精子形成能を獲得することは困難である
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児内分泌学会