1. 内分泌疾患
  2. 大分類: クッシング(Cushing)症候群
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副腎腺腫

ふくじんせんしゅ

Adrenal adenoma

告示

番号:12

疾病名:副腎腺腫

定義・概念

高コルチゾール血症にともない、糖代謝、脂質代謝、循環の異常、蛋白異化、免疫力低下をきたす状態がクッシング症候群である。クッシング症候群は副腎腺腫、副腎皮質癌、副腎過形成からの自律性コルチゾール分泌を原因とするACTH非依存性とACTH産生下垂体腺腫や異所性ACTH産生腺腫を原因とするACTH依存性に分類される。 副腎腺腫による自律性コルチゾール分泌によるものが本症である。

病因

本症の病態は腺腫からの自律性コルチゾールの分泌によって発症する。

頻度

正確な小児での頻度は不明である。成人も含めた年間有病率は(クッシング症候群、クッシング病を含む)100万人に2-5人で、うち小児例は10%であり、まれである。 乳幼児のクッシング症候群では副腎腫瘍によるものが多い。男女比は同等か男児がやや多い。5歳以下のクッシング症候群を呈する副腎腫瘍では70%が悪性であるとされる。

症状・検査

満月様顔貌、中心性肥満または水牛様脂肪沈着、皮膚の伸展性赤紫色皮膚線条(幅 1 cm 以上)、皮膚のひ薄化および皮下溢血、近位筋萎縮による筋力低下、小児における肥満をともなった成長遅延などがある。非特異的症候として高血圧、月経異常、座蒼(にきび)、多毛、浮腫、耐糖能異常、骨粗鬆症、色素沈着、精神異常がある。診断についてはクッシング病の診断ガイドラインを参考にする。   副腎腺腫、癌腫の場合、副腎アンドロゲンの自律分泌を認める場合には、男児における思春期早発症、女児における男性化を示すことがある。  片側性副腎皮質腺腫または癌腫の場合、対側の健常副腎はACTH抑制のため、萎縮して見えることが多い。副腎腺腫では脂肪成分が多く、典型例では非造影CTでは10HU未満の低吸収値を示す。

治療

副腎摘出により治療が可能である。手術不能例ではステロイド合成阻害薬または両側副腎摘出を考慮する。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児内分泌学会