概念・定義
病因
先天性
疫学
全先天性心疾患の10%弱程度
臨床症状
軽症例では無症状。中等症以上では加齢に伴い心不全、不整脈を呈する。重症例では乳児期に心不全症状を呈し、突然死することもある
診断
駆出音を認め、駆出性収縮期雑音を聴取する。 胸部エックス線:主肺動脈の拡大を認める。 心電図:右室肥大、右軸偏位、右房負荷を認める。 心臓超音波検査:肺動脈弁のドーム状形態および主肺動脈の狭窄後拡張を認める。弁形態の観察も可能である。主肺動脈での血流速は狭窄の程度に応じて加速する。三尖弁逆流速度、肺動脈血流速度、短軸での心室中隔形態などから右室圧の推定が可能で重症度判定のひとつとなる。 心臓カテーテル検査:右室圧の上昇を認め、肺動脈との収縮期圧較差から重症度判定が可能である。右室造影で肺動脈弁のドーム上形態、主肺動脈の拡大を認める。 心エコー、心臓カテーテル検査から重症度を決定する。 4) 軽症:右室圧50mmHg以下、右室—肺動脈間の圧差が30-50mmHg以下 5) 中等症:右室圧50mmHg以上、体血圧まで 6) 重症:体血圧以上。新生児、乳児で、動脈管に肺循環が依存している例は、とくに重症である
治療
右室—肺動脈間の圧差が30-50mmHg以上の場合は治療を行う。治療は、経皮的カテーテル肺動脈弁拡張術か手術である。近年は、手術はほとんど行われなくなった。術後一過性に漏斗部過収縮による右室圧上昇をみることがあり、ベータ遮断薬が投与される。異形成弁に対しては外科的治療が選択されることが多い
予後
予後は合併奇形によるが、単独のものは比較的良好である。軽症例では予後は悪くない。中等症以上では加齢に伴い重症化する傾向があり、年間自然死亡率が20-30歳で3.4%、30歳以降では6-7%という報告がある。治療後の予後は、比較的良好である
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児循環器学会