概念・定義
大動脈の一部の壁が、全周性、または局所性に拡大または突出した状態。壁の一部が局所的に拡張して瘤を形成する場合、または直径が正常径の1.5倍(胸部で45mm)を超えて拡大した場合に瘤と称している。拡大した血管壁は脆弱になり大動脈解離を起こしやすくなる。Marfan症候群(および類似疾患)や大動脈炎症候群でみられることがある。成人で径55mm以上の瘤に対して治療適応となる。上行大動脈—弓部の瘤は外科治療、下行大動脈の瘤は、成人であればカテーテル治療か手術を考慮する。小児では、カテーテル治療は施行されていない。
病因
Marfan症候群(および類似疾患)や大動脈炎症候群でみられることがある。
疫学
小児でもまれではあるがMarfan症候群(および類似疾患)や大動脈炎症候群でみられることがある。
臨床症状
特にない。大動脈解離が起こった場合には激しい胸痛を認める。
診断
胸部エックス線:拡大した瘤に一致した陰影を認めることがあるが、特徴的なものはない。
心電図:特に所見はない。
心臓超音波検査:心エコー図にて拡大した上行大動脈を描出する。解離が起こった場合には、血管壁が二層に解離し真の血管腔と、裂けてできた血管腔(偽腔)を認める。
心臓カテーテル検査:造影所見で、拡大した大動脈を認める。時に閉鎖不全を合併する。解離した場合は、カテーテル検査は行わない。
CT, MRI:
最も診断的価値がある。拡大した瘤状の大動脈を診断できる。
治療
成人で径55mm以上の瘤に対して治療適応となる。上行大動脈—弓部の瘤は外科治療、下行大動脈の瘤は、成人であればカテーテル治療か手術を考慮する。小児では、カテーテル治療は施行されていない。手術は、人工血管置換術、カテーテル治療は、人工血管つきステントを留置する。
予後
Marfan症候群(および類似疾患)や大動脈炎症候群の予後は不良である。
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児循環器学会