1. 慢性心疾患
  2. 大分類: 冠動脈狭窄症(川崎病によるものを除く。)
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冠動脈狭窄症(川崎病によるものを除く。)

かんどうみゃくきょうさくしょう (かわさきびょうによるものをのぞく。)

Stenosis or atresia of coronary artery

告示

番号:6

疾病名:冠動脈狭窄症(川崎病によるものを除く。)

疾患概念・定義

 冠動脈が大動脈への開口部で閉鎖あるいは狭窄している状態であり、左冠動脈に多く、単独で見られる場合と大動脈弁狭窄や大動脈弁上狭窄に合併して見られる場合がある。診断がつき次第、閉鎖の形態に応じて、膜様物の切除、バイパス手術などを行う。

病因

 先天性である。

疫学

 非常に稀であるが、正確な頻度は不明。

臨床症状

 乳幼児期に左冠動脈肺動脈起始症とおなじ症状を呈することがある。乳児期に灌流血流量の減少による広範な心筋虚血を来たし致命的になることがある。思春期以降に運動耐容能の異常として発見されることもある。運動時の胸痛や失神があれば、冠動脈開口部の閉鎖や狭窄などの冠不全を疑う。  大動脈弁狭窄や大動脈弁上狭窄に冠動脈口狭窄を合併した場合は、乳児期あるいはその後に、左冠動脈領域の慢性の虚血を生じる。 心電図には、左室前壁中隔側壁の虚血性変化が現れる。虚血性変化により左室の収縮能が低下し、乳頭筋不全による僧帽弁閉鎖不全を生じて、心不全を生じる。  運動負荷心電図は有用ではあるが、心筋虚血所見が記録できない場合もある。ホルター心電図は時に有用である。  心エコーでは、冠動脈洞の構造異常やカラードプラで冠動脈内の異常な血流を認めることがある。心室壁内に側副血行の異常血流を認めることがある。開口部閉鎖でも、冠動脈が大動脈から正常に起始しているように見えることがあるので注意する。

診断

 カテーテル検査による(右)冠動脈造影、CT、心臓MRIのいずれか1つの検査で冠動脈の明らかな狭窄や入口部の閉鎖が証明できた場合に診断する。心エコー検査のみでは確定できない。

治療

 冠動脈の手術を行う。閉鎖の形態に応じて、膜様物の切除、バイパス手術などを行う。

予後

 予後不良である。突然死の危険性は大きい。
:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会