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収縮性心膜炎

しゅうしゅくせいしんまくえん

Constrictive pericarditis

告示

番号:25

疾病名:収縮性心膜炎

概念・定義

 心膜の炎症が数ヶ月以上にわたって徐々に出現するか持続するもの。慢性に経過する心膜肥厚(収縮性心膜炎)をきたし、心臓の充満障害を来す疾患。うっ血性心不全症状、呼吸困難などを認め、拘束型心筋症の病態を呈する。不顕性に発症し発病時期がはっきりしないことが多い。有症状の場合は、外科的に心膜切除をおこなう。本症は治療困難のことがある。

病因

 病因は、ウイルス性、結核性などがあるが、特発性も多い。最近は、心臓手術などの外傷性、悪性腫瘍、放射線療法によるものがある

疫学

 小児での有病率は不明であるが、まれな疾患である。小児心筋症の2.5−5%を占める。小児の平均の発症年齢は6歳である

臨床症状

 症状は、心臓の拡張障害によって生じる。症状はうっ血性心不全と同様である。肺うっ血は稀であるが、呼吸困難、起坐呼吸、遷延する易疲労、体重増加不良をみることがある。右心不全となれば、浮腫、肝腫大ともなる

診断

[胸部エックス線所見] 胸部エックス線で心拡大を認める場合と認めない場合がある。 [心電図所見] 非特異的なST変化を認めることがある。 [心エコー所見] 診断に有用である。左室充満障害を認める。 [MRI, CT] 心膜の肥厚。心外膜に石灰化をあれば診断は容易である。 [心臓カテーテル、心筋生検] 左室圧がdip and plateau (square root sign)を呈する。心筋生検では、心筋組織は正常。 確定診断は、慢性の心不全症状。心エコーで左室充満障害。MRIで心膜の肥厚

治療

利尿薬投与や運動制限。有症状の場合は、外科的に心膜切除をおこなう

予後

 遷延性、難治性のことがある。死亡率は15%

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月1日
文責
:日本小児循環器学会