概念・定義
先天性または後天性に心室にできた憩室用の膨隆。膨隆部の壁は心内膜、心筋、心外膜の3層構造のこともあるし、線維化組織のこともある。先天性のものは前者が多く、心筋梗塞後の心筋壊死に起因するときは、後者が多い。破裂のリスクがあり、右室憩室は手術適応があれば手術、左室瘤は手術困難で難治性の疾患である。憩室切除後に縫合部瘢痕から不整脈が出現することがある。憩室の過切除で心不全になることもある。生涯の経過観察が必要な疾患であるが、予後は不明。
病因
先天性のものと、外傷や心筋梗塞後の心筋壊死に起因するものとがある
疫学
きわめてまれな疾患。世界でも報告例は、100例を越す程度である
臨床症状
瘤が大きいと易疲労など心不全症状。無症状のこともある
診断
[理学的所見] 合併心疾患がないと、特徴的な所見は無い。 [胸部エックス線所見] 心陰影の突出。発見のきっかけになる。 [心電図所見] 脚ブロックを認めることがある。 [心エコー所見] 右室や左室に心室内腔とは別の腔を認める。 [MRI所見] [MRI、CT所見] 右室や左室に心室内腔とは別の腔を認める。 [心臓カテーテル] 右室や左室に心室内腔とは別の腔を認める。 [確定診断] 心エコー、心臓カテーテル造影、CT, MRIで、瘤を診断
治療
治療するなら外科的治療しかない。手術適応は、合併奇形があれば、その疾患に対する治療の適応に準じる。憩室自体に対する手術適応は、心不全や心機能障害の原因となっていたり、破裂のリスクが高いと判断される場合には適応となる。憩室の大きさによっては、切除困難のこともある
予後
右室憩室は手術適応があれば手術、左室瘤は手術困難で難治性の疾患である。憩室切除後に縫合部瘢痕から不整脈が出現することがある。憩室の過切除で心不全になることもある
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児循環器学会