概要
病因
小児の心室期外収縮はほとんどが器質的心疾患を伴わない、いわゆる特発性心室期外収縮、心室頻拍であり、これらの機序のほとんどは異所性自動能亢進もしくはトリガードアクティビティーによるものである
疫学
学校心臓検診で発見される心室期外収縮は0.4%であるが、この中で多源性心室期外収縮がどの程度あるかははっきりしていない。先天性心疾患術後例では、多形性心室期外収縮、心室頻拍、心室細動を起こす例がある
臨床症状
症状は動悸が主体であるが、多源性心室期外収縮から心室細動へ移行すれば、失神、突然死をおこす
診断
心電図で2種類以上の波形の心室期外収縮を認める。運動負荷で期外収縮が増加する場合には、カテコラミン誘発多形性心室頻拍の可能性があるため注意が必要である
治療
治療の適応 a.失神,めまい,心停止など症状のあるもの。頻拍誘発性心筋症、心不全などの既往のあるもの。 b.運動負荷で再現性をもって,心室拍数200 以上の心室頻拍が誘発されるもの。または多形性心室頻拍が誘発されるもの。 薬剤:β遮断薬,効果なければCaチャネル遮断薬や,Na チャネル遮断薬(メキシレチン,ジソピラミド,フレカイニドなど)を投与する。 高周波カテーテルアブレーションの適応: はっきりした基準は定められていない
予後
運動負荷で増加するものはカテコラミン誘発多形性心室頻拍の項目を参照のこと。単形成心室期外収縮と比較すると予後不良と言われているが、報告は少なく、予後はわかっていない。先天性心疾患術後例では、多形性心室期外収縮から、心室頻拍、心室細動を起こす可能性があり、注意が必要である
参考文献
1. 長嶋正實他.小児不整脈改訂2版. 診断と治療社2011
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児循環器学会