概要
刺激伝導系の左脚もしくは右脚の伝導障害により生ずる幅の広いQRSで、QRS時間は0.12秒以上となる。多くは特発性である。無症状である。脚ブロックのみでは治療の必要はない。特発例の予後は良好である。
病因
疫学
学校心臓検診では完全右脚ブロックは0.05%、完全左脚ブロックは0.0004%に認められる。心室切開を必要とする先天性心疾患では一定の頻度で脚ブロックが発生する
臨床症状
特に認めない。進行性に脚ブロックから、房室ブロック、完全房室ブロックへと進行する進行性房室伝導障害を認める例も報告されている
診断
【心電図】 1. 左脚ブロック 左脚の障害により、左室に向う興奮が伝導されない状態。 V1誘導でQSパターンを呈し、V6誘導でq波を認めず、幅の広いR波を認める。 2. 右脚ブロック 右脚の刺激伝導系が障害された状態で、His束より伝えられた刺激は、左脚のみに伝導する。12誘導心電図上、V1誘導ないしV2誘導でrSR'パターンを呈し、またI誘導とV6誘導で幅広いS波が認める
治療
脚ブロックのみでは治療の必要はない。進行性伝導障害例で、房室ブロックへと進行すれば、ペースメーカ植込みの適応となる。先天性心疾患術後例では、心室頻拍が誘発されれば高周波カテーテルアブレーション、ICD植込みなどが必要になる
予後
特発性の例は予後は良好である。家族性、進行性の例ではペースメーカ植込みを行なえば予後は良好である。先天性心疾患術後例では、心室頻拍の危険因子になることがあり、突然死の可能性もある
参考文献
1. 長嶋正實他.小児不整脈改訂2版. 診断と治療社2011
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児循環器学会