概念・定義
疫学
まれな疾患で正確な発症頻度は不明である。世界で数百例の報告があり、日本は世界最多で100例以上の報告がある
病因
本疾患の原因遺伝子は、II 型肺胞上皮細胞に特異的に発現しているIIb型ナトリウム依存性リン運搬蛋白をコードしているSLC34A2と考えられている
症状
1.労作時呼吸困難、低酸素血症 2.咳嗽、胸痛 病初期(小児期)には無症状で、胸部X線写真の異常あるいは家族検診で発見されることが多い
診断
以下の検査所見の1+2または1+3で確定診断とする。 家族歴が明らかな場合には,検査所見の1のみでも診断して良い。 1) 画像検査 胸部単純X線写真・CTで両側にびまん性・対称性の粒状影(sand-storm appearance)またはすりガラス陰影を呈する。陰影は下肺野優位に出現し、胸膜下に “black pleural line”とよばれる肺野透過性が亢進した帯状影を認めることもある 2) 病理組織学的な微石の証明 肺生検(または肺胞洗浄液や喀痰)で、肺胞微石症に特徴的な所見(肺胞腔内に年輪状・層状の特徴的微石形成、Kossa染色陽性など)を認める。 3) 遺伝子診断 SLC34A2遺伝子異常を証明する
治療
有効性が認められた治療法はない。呼吸不全に対して、在宅酸素療法などの対症療法を行う。ジフォスフォネート・肺移植が有効だったとする報告がある
予後
大規模な予後のデータはない。小児期には無症状で過ごせることが多く。成人期に呼吸器症状が出現するとその後の長期予後は不良と考えられている
文献
1)Ferreira Francisco FA, Pereira e Silva JL, Hochhegger B, et al: Pulmonary alveolar microlithiasis. State-of-the-art review. Rspir Med 2013;.107:1-9. 2) Tachibana T, Hagiwara K, Johkoh T: Pulmonary alveolar microlithiasis: review and management. Curr Opin Pulm Med. 2009;15:486-490.
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日