疾患概念
軟骨芽細胞腫(chondroblastoma)は,小児の長管骨骨端部に好発する軟骨形成性の良性骨腫瘍である.組織学的には破骨細胞型多核巨細胞と円形または多角形の軟骨芽細胞様細胞で構成される細胞密度の高い比較的未分化な組織を特徴とし,石灰化巣を伴った軟骨性の間質を伴う腫瘍と定義される.
疫学
発生頻度は比較的まれであり,平成29年度の全国骨腫瘍登録一覧表では登録数は46例であり,良性骨腫瘍の3%である.
軟骨芽細胞腫の罹患は10歳代で多く(75%),小児に好発する.性差は男性にやや多い.
好発部位は長管骨の骨端部や本来骨端成長軟骨のある骨端突起部であり,大腿骨,脛骨,上腕骨に多いが,距骨,踵骨,膝蓋骨などに発生することもある.
病因
病因は不明である.近年,遺伝子異常として,H3F3B遺伝子のミスセンス変異が約90%の症例で見られることが明らかになっている.
臨床症状
局所の疼痛や腫脹で発症する.骨端部に発生するため,関節軟骨の破壊を伴う症例では,関節液貯留を認めることもある.
診断
血液検査では特に異常は認めない.
単純X線では長管骨骨端部の辺縁硬化を伴う類円形の透亮像として見られ,石灰化は約25%の症例に認められる.MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で不均一な高信号を示し,周囲の骨髄や軟部組織の反応性浮腫をしぼしば伴うことが特徴である.
治療
手術による治療が原則である.手術は掻爬と人工骨または自家骨の移植が行われることが多い.骨端線閉鎖前の小児の骨端部に好発するため,手術の際は成長軟骨を損傷しないように注意する必要がある.病変が小さく無症状の場合は経過観察とすることもある.
予後
掻爬による治療でも再発の頻度は少ない(10%以下).
良性腫瘍であるが,ごくまれに肺転移を来すことがあるが,その場合でも致死的となることはない.
成人期以降の注意点
切除部位に応じた運動機能障害
参考文献
- 日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍委員会/国立がん研究センター(編). 全国骨腫瘍登録一覧表, 2017
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月1日
- 文責
- :日本小児血液・がん学会