小児慢性特定疾病児童等支援事業について

小児慢性特定疾病対策では、慢性的な疾病を抱える児童やその家族の負担軽減及び長期療養をしている児童の自立や成長支援について、地域の社会資源を活用するとともに、利用者の環境等に応じた支援を行っています。
必須事業は全国で行われていますが、努力義務事業については、地域ごとに実施状況が異なりますので、詳しくはお住まいの自治体窓口にご確認ください。

〔事業の目的・内容〕
慢性的な疾病にかかっていることにより、長期にわたり療養を必要とする児童等の健全育成及び自立促進を図るため、小児慢性特定疾病児童等(以下、小慢児童等)及びその家族からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うとともに、関係機関との連絡調整その他の事業を行う。
〔実施主体〕
都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市
〔根拠条文〕
児童福祉法

必須事業

相談支援事業

小慢児童等とその家族について、適切な療養の確保、自立心の確立、必要な情報の提供等の便宜を供与することで、日常生活上での悩みや不安等の解消及び小慢児童等の健康の保持増進及び福祉の向上を図ることを目的とする。

  1. 療育相談指導
    医師等が医療機関からの療育指導連絡票に基づき、小慢児童等の家族に対して家庭看護、食事・栄養及び歯科保健に関する指導を行うとともに、福祉制度の紹介、精神的支援、学校との連絡調整、その他日常生活に関し必要な内容について相談を行う。
    対象児童等に関する療養等の内容を記載した連絡票は、「診療報酬の算定方法」(平成20 年厚生労働省告示第59 号)に規定する診療情報提供料(Ⅰ)の算定要件の対象となる。
  2. 巡回相談指導
    在宅指導の必要がある小慢児童等に対し、嘱託の専門医師等により療育指導班を編制し、関係各機関と連絡調整の上、出張又は巡回して相談指導を行い、必要に応じ訪問指導を実施する。
  3. ピアカウンセリング
    小慢児童等の養育経験者が、日常生活や学校生活を送る上での相談や助言を行い、小慢児童等の家族の不安の解消を図る。
  4. 自立心の育成相談
    小慢児童等は、疾病を抱えながら社会と関わるため、症状などの自覚及び家族や周囲との関係構築の方法など、自立に向けた心理面その他の相談を行う。
  5. 学校、企業等の地域関係者からの相談への対応、情報提供
    小慢児童等を受け入れる学校、企業等への相談援助、疾病について理解促進のための情報提供・周知啓発等を行う。

小児慢性特定疾病児童等自立支援員による支援

小慢児童等の自立が円滑に進むよう、小児期から成人期にかけて切れ目のない支援を行うため、小児慢性特定疾病児童等自立支援員(以下「自立支援員」という。)による各種支援策の利用計画の作成、関係機関との連絡調整等を実施することにより、小慢児童等の自立促進を図ることを目的とする。

<自立支援員の支援内容>

  1. 自立支援に係る各種支援策の利用計画の作成・フォローアップ
    小慢児童等の状況・希望等を踏まえ、自立・就労に向け、地域における各種支援策の活用についての実施機関との調整、小慢児童等が自立に向けた計画を策定することの支援及びフォローアップ等を実施する。
  2. 関係機関との連絡調整等
    小慢児童等への個別支援として、学校、企業等との連絡調整、各種機関・団体の実施している支援策について情報の提供等を行う。
  3. 慢性疾病児童地域支援協議会への参加
    小児慢性特定疾病対策地域協議会の構成員として、協議に参加し、取組の報告及び意見陳述等を行う。


<支援対象者>
小慢児童等の健康、教育等の状態に照らして、成人期に、生活の自立や一般就労が可能と考えられる児童等のうち、円滑な自立・就労への移行のために、個別支援を行うことが必要と考えられる者。自立支援は成長過程に応じて実施するべきであるため、必要がある場合には、幼少期からの支援を実施する。

努力義務事業

実態把握事業

小慢児童等の実情を踏まえ、他の努力義務事業の企画・立案にあたり必要な情報の収集等を行うことを目的とする。
地域における小慢児童等の実態把握の他、他の努力義務事業の実施に関して必要な情報の収集、整理、分析及び評価を行う。

療養生活支援事業

小慢児童等及びその家族が地域で安心して暮らすことができるよう、小慢児童等の日中における居場所を確保し、療養生活の改善を図ることを目的とする。
相談支援事業(必須事業)、小児慢性特定疾病児童等自立支援員による支援(必須事業)、実態把握事業の実施等により把握した地域の実態を踏まえ、医療機関その他の適切な場所において、小慢児童等を一時的に預かり、必要な療養上の管理、日常生活上の世話、その他必要な支援を行う。

例:
医療機関等によるレスパイト事業の実施など

相互交流支援事業

小慢児童等が相互に又はボランティア等と交流し、コミュニケーション能力の向上や情報の交換、社会性を養い自立の促進を図ることを目的とする。
相談支援事業(必須事業)、小児慢性特定疾病児童等自立支援員による支援(必須事業)、実態把握事業の実施等により把握した地域の実態を踏まえ、相互交流を行う機会の提供及びその他の便宜を供与する。

例:
ワークショップの開催、小児慢性特定疾病児童等同士の交流、小児慢性特定疾病に罹患(りかん)していた者との交流、他の小慢児童等の家族やボランティア等との交流など

就職支援事業

働く意欲がありながら、長期にわたり慢性的な疾病に罹患(りかん)しているために就労阻害要因を抱えている小慢児童等に対し、地域の関係者が連携して就労の支援や一般就労の機会を拡大し、小慢児童等の自立と社会参加の推進を図ることを目的とする。
内容:相談支援事業(必須事業)、小児慢性特定疾病児童等自立支援員による支援(必須事業)、実態把握事業の実施等により把握した地域の実態を踏まえ、就労に関する必要な支援又は雇用情報の提供を行う。

例:
職場体験、職場見学及び職業訓練、資格取得支援、ハローワークその他就労支援機関との連携、雇用・就労支援施策に関する情報の収集や提供に関することなど

介護者支援事業

小慢児童等の介護者の身体的、精神的負担を軽減することにより、小慢児童等の療養生活の改善及び家庭環境の向上させ、小慢児童等の福祉を向上させることを目的とする。
相談支援事業(必須事業)、小児慢性特定疾病児童等自立支援員による支援(必須事業)、実態把握事業の実施等により把握した地域の実態を踏まえ、介護者の負担軽減に資する必要な支援を行う。

例:
小慢児童等の通院等の付添い支援、家族の付添い宿泊支援、小慢児童等のきょうだいの預かり支援、家族向け介護実習講座など

その他の自立支援事業

慢性的な疾病を抱えるため、学校生活などでの教育や社会性の涵養(かんよう)に遅れが生じ、自立を阻害されている児童等について、上述の事業以外に必要な支援を行うことを目的とする。
相談支援事業(必須事業)、小児慢性特定疾病児童等自立支援員による支援(必須事業)、実態把握事業の実施等により把握した地域の実態を踏まえ、自立に必要な支援を行う。

例:
長期入院等に伴う学習の遅れ等についての学習支援、身体づくり支援、自立に向けた健康管理等の講習会、コミュニケーション支援、通学又は通院に対する患者等への支援など

小児慢性特定疾病要支援者証明事業

小慢児童の保護者又は成年患者に対し「登録者証」を交付し、小児慢性特定疾病にかかっている事実等を証明することで、地域における自立した日常生活の支援のための施策を円滑に利用できるようにすることを目的とする。
小児慢性特定疾病医療支援に係る医療費助成の対象となる者を対象とし、証明する方法は個人番号カードの提示によるものとする。ただし、当該方法によることができない状況にあるときは、書面により提示する方法とする。

小児慢性特定疾病対策等総合支援事業

慢性疾患を抱え、その治療が長期間にわたる子どもの健全育成の観点から、将来の展望に不安を抱えている子どもやその家族への支援として、小児慢性特定疾病対策の推進に必要な施策を総合的に実施する事業です。主な事業を以下で説明します。

小児慢性特定疾病児童等日常生活給付事業

こちらのページをご覧下さい。

小児慢性特定疾病対策地域協議会運営事業

小慢児童等が成人期に自立することができるよう、地域の支援体制を確立するため、小児慢性特定疾病対策地域協議会を設置し、小慢児童等の健全育成を図るとともに、小慢児童等及びその家族が、慢性疾患を抱えていても、安心して暮らせる地域社会の実現を図ることを目的とする。

小児慢性特定疾病指定医育成事業

小児慢性特定疾病指定医については、厚生労働大臣が定める認定機関が認定する専門医を取得していること、または、都道府県知事等が実施する研究を受けていることを要件とする。医師に対する研修を実施し、小児慢性特定疾病の診断が適切に行われる体制を整備することを目的とする。多くの実施主体では、下記のe-learningサイトを利用した研修も利用できる(利用可能な実施主体については、こちらのリンク先を参照)。

移行期医療支援体制整備事業

小児期から成人期への移行期にある小慢児童等への適切な医療の提供に関する課題を解消するため、小児期及び成人期をそれぞれ担当する医療従事者間の連携など支援体制の整備や、自身の疾病等の理解を深めるなどの自律(自立)支援の実施により、移行期医療支援体制の整備を目的とする。

移行支援・自立支援についての関連情報

移行支援や自立支援に関しては、下記のサイトでも詳しく紹介されています。小児期から成人期への移行期にある慢性疾患を持つ方が、成長・発達に合わせてつねに適切な医療を受け、自分の健康を自分で守っていけるよう支援する目的で運営されています。

こちらのページをご覧下さい。
移行支援・自立支援情報共有サイト

移行期医療支援