診断方法
検査所見
赤血球および尿中のポルフィリン体あるいはその前駆体の定量により病型診断される(表1)。正常者では、ともに陰性である。
表1. 先天性ポルフィリン症の病型別ポルフィリン体および前駆体の発現パタン
分類 | 病型 | 病期 | 血液 | 尿 | 糞便 |
---|---|---|---|---|---|
皮膚型 | CEP | UP, CP | UP, CP | UP, CP | |
EPP | PP | N, (CP) | PP | ||
XLPP | PP | N | PP | ||
PCT | N | UP>CP | CP>UP, isoCP | ||
HEP | PP | UP, isoCP | isoCP | ||
急性型 | AIP | 潜伏期 | N | ALA, PBG | N |
急性期 | N | ALA, PBG, UP, CP | UP>CP | ||
ADP | PP | ALA, UP, CP | CP, PP | ||
VP | 潜伏期 | N | N | N | |
急性期 | N, (PP) | ALA, PBG, UP, CP | PP>CP, XP | ||
HCP | 潜伏期 | N | N, (ALA, PBG) | CP | |
急性期 | N, (PP) | ALA, PBG, CP | CP |
CEP: 先天性赤芽球性ポルフィリン症、EPP: 赤芽球性プロトポルフィリン症、PCT: 晩発性皮膚ポルフィリン症、HEP: 肝性赤芽球性ポルフィリン症、AIP: 急性間歇性ポルフィリン症、ADP: ALA脱水酵素欠損症ポルフィリン症、VP: 多様性ポルフィリン症、HCP: 遺伝性コプロポルフィリン症、ALA: δ-aminolevulinic acid、CP: coproporphyrin、isoCP: isocoproprophyrin、N: normal、PBG: porphobilinogen、PP: protoporphyrin、UP: uroporphyrin。()内はときに上昇するもの。
先天性赤芽球性ポルフィリン症(CEP)、肝性赤芽球性ポルフィリン症(HEP)では、赤血球プロトポルフィリン、尿ポルフィリンがともに陽性になる。赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)では、赤血球プロトポルフィリンは陽性であるが、尿ポルフィリンは陰性である。赤血球プロトポルフィリンが陰性で尿ポルフィリンが陽性の場合は、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、多様性ポルフィリン症(VP)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)のいずれかであるが、さらなる鑑別には、糞便ポルフィリンの測定が必要となるが、一般検査としては行われていない。
急性型の場合、急性症状のない時期にはポルフィリン体あるいは前駆体が検出されないことが多い。ポルフィリン体の定量を行っても必ずしも病型診断が可能なわけではなく、最終的には遺伝子診断が必要になる場合が多い。各病型に対応した原因遺伝子が同定されているので、変異検索可能になっている(表2)。
表2. 先天性ポルフィリン症の病型
分類 | 病型 | 原因遺伝子産物 | 遺伝形式 |
---|---|---|---|
皮膚型 | 先天性赤芽球性ポルフィリン症(CEP) | ウロポルフィリノーゲン合成酵素(UROS) | 常劣 |
赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP) | フェロケラターゼ(FECH) | 常優 | |
X連鎖赤芽球性プロトポルフィリン症(XLPP) | δアミノレブリン酸合成酵素2(ALAS2) | X連 | |
晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT) | ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素(UROD) | 常優 | |
肝性赤芽球性ポルフィリン症(HEP) | ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素(UROD) | 常劣 | |
急性型 | 急性間欠性ポルフィリン症(AIP) | ヒドロキシメチルビン合成酵素(HMBS) | 常優 |
δアミノレブリン酸脱水酵素欠損性ポルフィリン症(ADP) | δアミノレブリン酸脱水酵素(ALAD) | 常劣 | |
多様性ポルフィリン症(VP) | プロトポルフィリノーゲン酸化酵素(PPOX) | 常優 | |
遺伝性コプロポルフィリン症(HCP) | コプロポルフィリノーゲン酸化酵素(CPOX) | 常優 |
常劣:常染色体劣性遺伝、常優:常染色体優性遺伝、X連:X染色体連鎖性遺伝
当該事業における対象基準
疾患名に該当する場合
- 版
- :改訂第1版
- 更新日
- :2021年11月1日
- 文責
- :日本小児皮膚科学会