診断の手引き

  1. 慢性消化器疾患
  2. 大分類: 難治性膵炎
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自己免疫性膵炎

じこめんえきせいすいえん

Autoimmune pancreatitis

告示

番号:32

疾病名:自己免疫性膵炎

状態の程度

体重増加不良、成長障害、易疲労性、反復する腹痛発作又は慢性の脂肪便のうち一つ以上の症状が認められる場合

診断基準

A 症状

1型自己免疫性膵炎では、腹痛は無~軽度であり、閉塞性黄疸、糖尿病症状(口渇感、全身倦怠感、体重減少)、随伴する膵外病変による症状を呈する。2型自己免疫性膵炎では腹痛を認めることが多く、しばしば急性膵炎で発症する。


B 検査所見

<血液検査>
1型自己免疫性膵炎では、一般生化学検査では血中膵酵素値、肝胆道系酵素、総ビリルビン上昇などがみられる。免疫学的には高γグロブリン血症、高IgG血症、高IgG4血症以外にも、抗核抗体およびリウマトイド因子が陽性となる。2型自己免疫性膵炎では、急性膵炎で発症することが多く、膵酵素値の上昇を認める。
<画像検査>
腹部エコー、CT、MRI検査では、膵のびまん性腫大、分節性/限局性腫大を認める。また内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP)で主膵管の不整狭細像をびまん性、あるいは限局性に認める。
<膵病理所見>
1型自己免疫性膵炎:リンパ球・形質細胞浸潤、IgG4陽性形質細胞の浸潤、花筵状線維化、閉塞性静脈炎を特徴とする。
2型自己免疫性膵炎:好中球浸潤による膵管上皮破壊像を特徴とする。


C 遺伝学的検査等

なし


D 鑑別診断

小児の急性膵炎は膵胆管合流異常症、薬剤性、外傷、感染、遺伝性などの要因によることが多く、これらの要因を鑑別する必要がある。特に炎症性腸疾患に合併する2型自己免疫性膵炎では、炎症性疾患関連治療薬による薬剤性膵炎との鑑別が重要である。


E-1 確実例

1. 腹痛、黄疸、または全身倦怠感を認める。
2. 高IgG4血症(135mg/dl以上)を認める。ただし小児ではIgGは成人に比して低値であり、相対的にIgG4も低値である。IgG4の総IgGに対する正常比率2-4%を超える場合をIgG4高値の目安とする。また、炎症性腸疾患に合併する2型自己免疫性膵炎では、IgG4値の上昇は認めない。
3. 画像検査で、膵のびまん性腫大、分節性/限局性腫大、主膵管の不整狭細像を認める。
4. 膵病理検査で、B.検査所見に示す自己免疫性膵炎に特有の病理像を認める。
1-4を満たすものを確実例とする。


E-2 疑い例

1および3を認め、ステロイドまたは炎症性腸疾患関連治療薬により改善を認めた場合を、疑い例とする。

参考文献

  • (1) 自己免疫性膵炎診療ガイドライン2013.膵臓28: 717-83, 2013
  • (2) 菅野淳ら.膵臓30:54-61, 2015
  • (3) 植木敏晴ら.膵臓30:116-122, 2015
  • (4) 村田真野ら.日消誌111:1632-9, 2014
  • (5) Zen Y, et al. JPGN 59: e42-5, 2014
  • (6) Patel Z, et al. Clin J Gastroenterol 8: 421-5, 2015
:バージョン1.0
承認日
文責
:日本小児栄養消化器肝臓学会