診断の手引き

  1. 慢性消化器疾患
  2. 大分類: 炎症性腸疾患(自己免疫性腸症を含む。)
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早期発症型炎症性腸疾患

そうきはっしょうがたえんしょうせいちょうしっかん

Early-onset Inflammatory Bowel Disease

告示

番号:4

疾病名:早期発症型炎症性腸疾患

診断方法

以下の A. の 1. ~ 5. 項目のうち、1. ~ 3. を含む 4 項目以上を満たし、かつ B. のうち 2 項目以上を満たした場合、早期発症炎症性腸疾患と診断する。

A. 臨床症状・検査所見

  1. 6 歳未満で、4 週間以上続く肉眼的血便もしくは便潜血陽性の血性下痢で発症し、その改善に、完全成分栄養、中心静脈栄養、もしくは副腎皮質ステロイド等の免疫抑制療法を必要とした。免疫抑制療法を、発症より 4 週間以前に使用して改善した場合は、下痢・血便の期間は 2 週間以上とする。
  2. 消化器内視鏡検査にて小腸もしくは大腸に、顆粒状粘膜やびらん、多発性潰瘍を認め、病理組織にて、粘膜固有層への単核細胞・形質細胞を中心とした炎症細胞浸潤を認める(内視鏡と病理のカラーでの報告書の添付を必須とする)
  3. 便培養が陰性で、クロストリジウム・ディフィシール毒素が陰性である
  4. 免疫抑制療法(副腎皮質ステロイド他)の投与により血性下痢が改善した
  5. 2 週間以上の中心静脈栄養を必要とした。

B. 補助所見

  1. 体重増加不良
  2. 貧血
  3. 低アルブミン血症(血清アルブミン値 < 3.5 g/dL)
  4. 成分栄養剤の投与にて、下痢が改善する
  5. 難治の痔瘻・肛門周囲膿瘍・直腸膣瘻

C. 参考条項

  1. 既知の免疫不全症(慢性肉芽腫症、分類不能型免疫不全症、Wiscott-Aldrich 症候群など)、消化管アレルギーが除外されていること。
  2. 十二指腸の難治性病変にあたっては、H.pylori感染症,NSAIDs潰瘍が除外されていること。
  3. 6 歳までは 1 年毎に病態と治療内容を明記して更新条件を満たす必要があり、初回申請時とその後、少なくとも 3 年に 1 回は消化器内視鏡検査を行い、腸管の粘膜状態を内視鏡・病理組織にて評価し、そのレポートを添付する必要がある。

当該事業における対象基準

疾病による症状がある場合又は治療を要する場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児栄養消化器肝臓学会