診断の手引き

  1. 神経・筋疾患
  2. 大分類: 遺伝子異常による白質脳症
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アレキサンダー(Alexander)病

あれきさんだーびょう

Alexander disease

告示

番号:2

疾病名:アレキサンダー病

診断方法

大脳優位型(1型)アレキサンダー病

I.主要徴候
  1.  けいれん
  2.  大頭症
  3.  精神運動発達遅滞
II.頭部MRI所見
  1.  前頭部優位の白質信号異常
  2.  脳室周囲の縁取り;T2強調画像で低信号、T1強調画像で高信号を示す
  3.  基底核と視床の異常;T2強調画像で高信号を伴う腫脹または高・低信号を伴う萎縮
  4.  脳幹の異常・萎縮;延髄あるいは中脳にみられることが多い、腫瘤効果を伴う結節病変を呈することがある
  5.  造影効果を認める;脳室周囲、前頭葉白質、視交叉、脳弓、基底核、視床、小脳歯状核、脳幹など
III. 遺伝子検査および病理学的検査
  1.  遺伝子検査:GFAP異常
  2.  病理学的検査:アストロサイト細胞質内のローゼンタル線維

Iの一つ以上、およびIII の1.を含む二つ以上を認める場合、本症を疑い、遺伝子検査あるいは病理学的検査を考慮する。III. のいずれかを認めた場合、本症と確定診断する。III.の1.を認めず、病理学的検査が施行できない場合は、他疾患を除外できれば臨床的アレキサンダー病と診断する。

延髄・脊髄優位型(2型)アレキサンダー病

I.主要徴候
  1.  筋力低下
  2.  腱反射異常
  3.  バビンスキー徴候陽性
  4.  構音障害
  5.  嚥下障害
  6.  発声障害
  7.  口蓋ミオクローヌス
II. 頭部MRI所見

下記のいずれかの像を呈する延髄・上位頚髄の信号異常または萎縮を認める。

  1. 橋底部が保たれ、延髄および上位頚髄が高度に萎縮するおたまじゃくし様(tadpole appearance)の像
  2. T2強調画像における信号異常や造影効果を伴う像
  3. 萎縮を伴わない結節性腫瘤像
III. 遺伝子検査および病理学的検査
  1.  遺伝子検査:GFAP異常
  2.  病理学的検査:アストロサイト細胞質内のローゼンタル線維

Iの一つ以上およびIIの所見を認める場合、本症を疑い遺伝子検査あるいは病理学的検査を考慮する。III. のいずれかを認めた場合、本症と確定診断する。III.の1.を認めず、病理学的検査が施行できない場合は、他疾患を除外できれば臨床的アレキサンダー病と診断する。

中間型(3型)アレキサンダー病

1型および2型の両者の特徴を有する型.確定診断法は1型、2型に準じる。

当該事業における対象基準

運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)、けいれん発作、皮膚所見(疾病に特徴的で、治療を要するものをいう。)、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合

:バージョン1.0
更新日
:2014年10月6日
文責
:日本小児神経学会