診断方法
以下の2項目のうち、1. および 2. を満たせば確定診断とする。
- CT、MRI、超音波検査などの画像診断(出生前検査を含む)、または手術所見により、神経管との交通がない充実性または嚢胞性腫瘤が仙尾部に存在し、腹腔内へ進展するまたは臀部へ突出していることが確認できる。
- 手術により切除した腫瘍の組織学的診断により、成熟奇形腫・未熟奇形腫・悪性奇形腫のいずれかの組織型であることが確認できる。
何らかの理由で、手術によって組織学的診断が困難である症例については、1. を満たせば確定診断となり得る。
仙尾部奇形腫は、手術による腫瘍切除後にも関わらず、排尿・排便障害や下肢の運動障害、中枢神経障害などの合併症・後遺症を長期間認める症例があり、それらを小児慢性特定疾患の対象とする。
以下のうち、軽症例は長期間にわたる入院加療や外来通院加療を要さないため小児慢性特定疾患の対象とはならない。
- ⑴ 軽症例
- 上記の診断方法により本症の確定診断が得られたうち、90 日以上生存し、⑵ a. ~ d. のいずれの項目にも該当しない症例
- ⑵ 重症例
- 上記の診断方法により本症の確定診断が得られたうち、90 日以上生存し、かつ以下の 4 項目のうち、少なくとも 1 項目以上に該当する症例
- 排尿障害を認める症例
- 排便障害を認める症例
- 下肢の運動障害を認める症例
- 精神発育遅滞・運動発達遅滞・低酸素脳症・その他の中枢神経障害を有する症例
- ⑶ 最重症例
- 上記の診断方法により本症の確定診断が得られたうち、高心拍出性心不全、胎児水腫、大量出血、DIC などのために、胎児死亡するか、出生しても 90 日以上生存できなかった症例。
参考文献
- Usui N, Kitano Y, Sago H, Kanamori Y, Yoneda A, Nakamura T, Nosaka S, Saito M, Taguchi T. Outcomes of prenatally diagnosed sacrococcygeal teratomas: the results of a Japanese nationwide survey J Pediatr Surg 47(3):441-7, 2012.
当該事業における対象基準
けいれん発作、自閉傾向、意識障害、行動障害(自傷行為又は多動)、知的障害、運動障害、排尿排便障害、皮膚所見(疾病に特徴的で、治療を要するものをいう。)、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児外科学会