診断基準
A.症状
- 外表所見:正中に皮膚に覆われた瘤を形成し、内部は脂肪組織であるので触診上は柔らかいことが多い.血管腫、皮膚陥凹、異常毛髪、などその他の皮膚症状を伴うこともあるが、外表情の明らかな異常を示さないこともある.通常は、腰仙部に発生しやすい。
- 神経学的には、脊髄機能障害による各種神経症状を認める。
<参考所見>
相排泄腔外反、臍帯ヘルニア、鎖肛、下部尿路の形成異常などに合併することがある。
B.検査所見
脊髄腰仙部MRIにて皮下脂肪種と同じ高信号域をT1およびT2強調画像で認める.通常は皮下脂肪と連続しているが、
稀に明らかな連続を認めない場合もある.
腰仙部脊椎3D再構成画像では、脂肪腫の皮下脂肪層への連続部位に一致して病的二分脊椎の存在を認める.
泌尿器科検査(排尿動態検査、逆行性膀胱造影など)で神経因性膀胱に一致する所見を認める.
C.遺伝学的検査等
発症に関わる明らかな遺伝学的異常は、現時点では確認されていない.
D.鑑別診断
脊髄髄膜瘤、脊髄脂肪腫以外の潜在性二分脊椎(先天性皮膚洞、週末部脂肪脊髄嚢胞、限局性背側脊髄披裂など)
E-1.確実例
MRIにより脊髄硬膜内に脂肪組織を認める.脊髄円錐尾側端は正常下限より尾側に牽引されている.
E-2.疑い例
- 腰仙部から尾骨端にかけた体幹背側正中あるいは傍正中部の脂肪組織による膨隆、あるいは血管腫、皮膚陥凹.異常毛髪、人尾などの異常皮膚病変が存在する.
- 上記皮膚病変に加えて、下肢変形、下肢長・足底長の左右差の存在
- 上記皮膚病変に加えて、神経因性膀胱の診断.
- MRIにより脊髄硬膜内に脂肪組織を認めるが、脊髄円錐尾側端は正常範囲に存在する.
当該事業における対象基準
状態の程度
けいれん発作、意識障害、運動障害、排尿排便障害又は温痛覚低下のうち一つ以上の症状が続く場合
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2017年3月17日
- 文責
- :日本小児神経外科学会