診断の手引き

  1. 神経・筋疾患
  2. 大分類: 脊髄髄膜瘤
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髄膜脳瘤

ずいまくのうりゅう

meningoencephalocele

告示

番号:38

疾病名:髄膜脳瘤

診断方法

典型的な瘤の外表所見から診断できる場合が多い。画像検査で瘤の発生部分に一致した頭蓋骨の欠損と瘤内への脳の脱出の所見を認めれば確定できる。

A. 臨床症状

1. 外表所見

頭蓋円蓋部、円蓋部に発生する髄膜脳瘤は、外表所見から生後早期に発見される。瘤が大きければ出生前に画像検査で診断される例もある。後頭部の瘤が最も頻度が高い。覆う表皮には血管腫や異常毛髪を伴いやすい。表皮はまた、外表にさらされ二次的な変化を受けて健常は皮膚構造を持たない場合が多い。 瘤の触診上の所見は弾性軟で、頭蓋内と髄液の交通があるため、啼泣すれば瘤の皮膚の緊張が高くなる。骨欠損部が大きければ、触診でこれを触れる。大きな瘤であれば、大きな脳組織が脱出している例が多く、脳実質とともに脳室が脱出している例がある。 皮膚や髄膜が薄いため一部が破れ、瘤内の髄液が流出している例では瘤は退縮した所見を呈する。
頭蓋底部に発生する髄膜脳瘤の中で、鼻根部から前頭部への脱出には眼球乖離、口蓋裂や口唇裂、視神経委縮、眼球形成異常、脳梁欠損などを伴いやすい。篩骨洞や蝶形骨洞部に脱出する場合は、外表上では認めないので発見が遅れる。鼻閉や上気道閉塞などに対する耳鼻科的な検索で発見されることがある。 瘤の膜を破れれば髄液が流出し、髄膜炎を繰り返し発生する。合併する上気道の閉塞による呼吸障害、視床下部の頭蓋外への脱出による内分泌障害を伴うこともある。

B. 検査所見

円蓋部の髄膜脳瘤では頭部単純XPでは円蓋部の瘤に一致して頭蓋の正中部に骨欠損部を認める。CTでは頭蓋骨欠損の詳細な所見が得られ、瘤への脳組織の脱出や水頭症の合併の有無を評価する。MRIでは脳組織や脳室組織が瘤内に脱出しているかどうかを評価できる。MR venographyでは正中に発生しやすい瘤と静脈洞との関連を評価できる。合併病変として、小脳虫部の欠損、大脳形成異常の有無を検討する。頭蓋底部の髄膜脳瘤では、脱出した脳組織、視神経組織、前大脳動脈などの形成異常の程度、その他の頭蓋内病変の検索を行う。

C.その他の重要な臨床所見、検査所見

特になし。

D. 鑑別診断

  1. 鼻ポリープ
  2. 鼻ポリープは頭蓋底に脱出し鼻腔粘膜で覆われた髄膜脳瘤と肉眼的には鑑別が困難であるが、頭蓋骨の欠損を呈さず頭蓋の内容物の脱出もない。
  3. 頭蓋骨膜洞
  4. 頭蓋骨膜洞では、頭部を心臓より低く下げるなど静脈圧が上昇すると皮下の静脈に血液が貯留して瘤を形成する。旁正中部に発生しやすく、正常な皮膚で覆われ軟らかい圧縮可能な比較的小さな瘤を呈する。瘤を形成する頭皮下静脈と頭蓋内の硬膜静脈洞とをつなぐ静脈が通過する小さな頭蓋骨の骨欠損を正中付近に認める。頭蓋の内容物の脱出はない。
  5. 先天性皮膚洞
  6. 神経管の閉鎖不全のために皮膚組織を含んだ管状の構造物が皮膚から頭蓋内に連続するため正中部付近に小さな頭蓋骨の欠損を生じる。外表上は瘤の形成はなく、洞の開口部が皮膚陥凹となり、周囲に皮膚に異常な毛髪や血管腫を伴う。後頭部に多く、まれに鼻根部に認める。

当該事業における対象基準

けいれん発作、自閉傾向、意識障害、行動障害(自傷行為又は多動)、知的障害、運動障害、排尿排便障害、皮膚所見(疾病に特徴的で、治療を要するものをいう。)、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下、骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合

:バージョン1.0
承認日
文責
:日本小児神経学会、日本小児神経外科学会